寒さしのぐ仮設の正月 「大熊町は今ごろ…」 原発事故で会津若松に避難

 東京電力福島第一原発事故で避難した人の多くは、わが家にも帰れず、三度目の正月を不自由な避難先で迎える。福島県大熊町の住民が避難する会津若松市の仮設住宅を訪ねると、床下から入り込む冷気にじっと耐える暮らしがあった。(大野孝志、山川剛史)

仮設住宅内のキッチン

ウナギの寝床、冷気が床下を抜けていく

 雪に包まれた会津盆地を囲む山の中腹に、松長近隣公園仮設住宅はある。吹き抜ける寒風が痛い。
 一棟に十軒が並ぶプレハブ長屋。門馬五子(もんまいつこ)さん(71)の好意で一泊させてもらった。まさにウナギの寝床だ。
 樹脂板で囲われた風よけ室を抜け、玄関のドアを開けると、いきなり洗濯機や冷蔵庫があった。横の小さなキッチンには、まな板を置くスペースもない。
 奥に、四畳半と六畳間。一人暮らしの門馬さんはまだしも、三十平方メートルで三人用だ。
 床に腰を下ろすと、冷気が床下を抜けていくのを実感する。敷かれた畳の厚みはわずか一・五センチ。外から床下をのぞくと、地面に打ち込まれた木のくいと、コンクリート板に置かれた金物が建物を支えていた。
 壁は石こうボード、天井は厚さ五・五ミリの合板。粗っぽく木ねじで留めた造りで、解体のしやすさを重視したまさに「仮設」の住宅だった。近隣の話し声や足音も響いてきた。
 断熱性能が低く、油断するとすぐに結露し、特に押し入れはじめじめする。除湿器は付けっぱなしで、起床して最初の作業は窓についた結露の拭き取りだ。
 そんな厳しい状況だが、門馬さんは気丈だ。
 「キャンプ用の断熱シートを敷けば、薄い畳でも寒さをしのげる。窓にシートを立てかければ温度が逃げにくい。いろいろ知恵を使うのは結構楽しいのよ」
 笑顔で話すが、壁に掛かった大熊町の自宅の航空写真を見て「今ごろどうなっているかな」。まだ仮設での生活に終わりが見えない中、底知れぬ寂しさと悲しさをうかがわせた。

門馬さんが暮らす会津若松市の仮設住宅

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