福島第一タンクに転落、死亡 止まらぬ作業事故  「素人ばかりでレベルが低下」

 東京電力福島第一原発で作業事故に歯止めがかからない。十九日には増設中のタンクの天板から元請け会社の社員が転落し、その後死亡した。

タンクの天板を開けようとして、作業員がタンク内に転落した現場(矢印)

後に、命綱つけず、単独行動だったと判明

 事故は十九日午前九時すぎ、安藤ハザマの五十代の社員が、完成したボルト締め型タンクの止水処理がされたかどうかを点検する際に発生。タンク内は真っ暗だったため、社員は、高さ約十メートルの天板に上ってふた(縦一メートル×横〇・八メートル、重さ五十一キロ)をあけ、日の光を入れようとした。だが、誤ってタン内に転落し、胸や腰、脚など多数の骨を折った。その後、死亡した。
 建設現場では、高所で作業するときは落下防止の命綱をつけるのが基本だが、社員は安全帯は着用していたものの、東電は「命綱をつけていたかどうかは不明」としている。
 福島第一では昨年三月に初めて事故収束作業中の死亡事故が起きた。東電は安全管理を徹底すると誓ったが、昨秋にはタンク上部から鋼材が落下し、三人が重軽傷を負うなど、重大事故が相次ぐ。今年に入っても、作業員がつり上げた鉛板に頭をぶつけ、救急車で運ばれた。
 福島労働局は十六日、東電を指導。東電も元請け会社の担当者を集めて、安全総決起大会を開いたばかりだったが、今回の事故は防げなかった。
 相次ぐ作業事故を受け、小林照明原子力・立地本部長代理は「災害をたびたび起こして申し訳ない。どこに危険があるかしっかり確認して、安全意識を向上させたい」と話したが、打開策は見いだせていない。(岸本拓也)

「素人ばかりでレベルが低下」

 現在、福島第一原発では一日七千人近い作業員が働き、汚染水処理、タンク増設・置き換えなど現場は非常に混み合っている。
 技術系の作業員は「全国からかき集められてきて人数はいるが、素人ばかりでレベルが低すぎる。元請けの社員もそう。ひやっとすることが多く、時間はかかるし、仕事のできも悪い」と説明する。
 ベテラン作業員らは被ばく線量が上限に近づき、相当数が現場を去った。そんな中、作業員登録をした後に、必要な資格を取りに行かせる社もあるという。
 ある作業員は、監督も、現場で携帯電話でベテランに指示を受ける素人が多くなったと嘆く。「この状況で、工程も厳守と言われてせかされるがどうしようもない。春以降、どう作業をしたらいいのか…」と頭を抱えた。(片山夏子)

翌日には福島第二で死亡事故も

2015/01/20 (火) 東京新聞 夕刊
福島第二 作業員死亡 機器に挟まれ 第一で転落の男性も
 二十日午前九時すぎ、福島県楢葉町の東京電力福島第二原発で、機器を点検していた男性作業員が器具に挟まれた。男性はドクターヘリで病院に運ばれたが死亡した。
 東電によると、男性は下請け会社の作業員。廃棄物を処理する建屋の五階で作業中だった。頭などから出血しており、県警双葉署が事故の状況を調べている。
 一方、東電は同日、福島第一原発で増設中のタンク天板から元請け会社の男性社員が転落した事故で、重傷だった男性が死亡したと発表した。二〇一一年三月に発生した原発事故の収束作業中の死亡事故は二件目。
 東電や双葉署によると、死亡した男性は安藤ハザマの社員で同県広野町の釣(つり)幸雄さん(55)。
 事故は十九日午前九時すぎ、完成したボルト締め型タンクの止水処理がされたかどうかを点検する際に発生。釣さんは高さ約十メートルの天板に上ってふたを開け、真っ暗なタンク内に日の光を入れようとしたところ、誤ってふたごとタンク内に転落した。胸や腰などの骨を折り、病院で治療を受けていたが、二十日午前一時二十分すぎに死亡が確認された。

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