建屋内ルポ 4号機依然危うさ 吹き飛んだがれき山積

 政府と東京電力は二十六日、福島第一原発を報道陣に公開した。三回目の今回は、細野豪志原発事故担当相に同行する形で、4号機原子炉建屋に初めて記者が入り、本紙は代表取材者を務めた。内部は厚さ一メートルもある外壁が吹き飛び、折れ曲がった鉄筋や配管があちこちに残されていた。水素爆発のすさまじさを思い知らされた。(森本智之)
 何度も写真や動画で見たはずだった。しかし、現実の迫力に足がすくんだ。
 午後一時四十分、建屋に入ると、すぐ右手が吹き抜けになっていて、最上階まで工事現場で使うような仮設階段が延びていた。人が肩をすぼめて歩けるくらいの幅しかない。中腰のまま頭を何度もぶつけながら上ると、全面マスクの息苦しさも手伝ってすぐに汗が噴き出した。
 二階に着くと、多くの人が崩落を心配する使用済み核燃料プールを支えるため、事故後に設置された支持構造物があった。鋼鉄製の支柱をコンクリートの壁が取り囲む構造だという。見上げると、プールの底の部分のコンクリートが見えた。意外なほどきれいな状態だった。
 四階まで上ると急に明るくなり、一気に視界が開けた。水素爆発が起きたとされるフロアだ。海側のコンクリート壁は吹き飛ばされ、床には一面にがれき、がれき、がれき。戦争で爆撃を受けた跡のようだ。配管が激しく曲がり、鉄骨もあめのように曲がったままさび付いていた。
 五階フロアに立つと、使用済み核燃料プールがあった。がれきがプール内に落ちないよう、水面を浮き板で覆っている。監視カメラがある一画からは水面が見えた。七メートル下には千五百三十五体もの核燃料が眠る。水は写真で見るよりずっと暗くよどみ、中の様子はうかがえなかった。
 プールの隣には、格納容器の黄色いふたがあった。近くの台に上ると、急に放射線量が上がり、一気に毎時〇・三ミリシーベルトを超えた。「3号機から高線量が流れてくるんです」と東電社員。がれきのすき間から、3号機のぐにゃりと曲がった建屋が見えた。
 この日の建屋内の取材は約三十分。建屋が傾くなどの異変は感じられなかった。ただ、ここまでぼろぼろになったかという印象だ。東電は東日本大震災のような震度6強の揺れに耐えられると強調するが、実際に大地震が来たら、本当に耐えられるのか、現場を見るほどに疑念がわいた。

タンク林立 地下にため池 汚染処理水満杯へ刻一刻 

 東京電力福島第一原発は、今や発電所というより高濃度汚染水を処理した水をためるタンク置き場と化していた。これまでに約千基ものタンクが設置されたが、処理水は次から次へとやってくる。今度は地下にため池を造っていた。増設にも限りがあり、問題解決の難しさを現場で実感した。(榊原智康)
 正門をくぐると、まず目に飛び込んできたのは、ずらりと並んだ高さ十一メートルのグレーの円筒形タンク群だ。
 原子炉に注水されて原子炉建屋地下に漏れ出し、くみ上げて除染した水がここにためられる。円筒形のほか、真っ青な横置きの円筒形、箱形などさまざまなタンクがある。
 放射性セシウムと塩分はほぼ取り除かれているが、ストロンチウムなどは残っている。建屋地下の水ほどではないが、れっきとした汚染水だ。これが敷地内に約十五万五千トンある。現時点では、抜本的な対応策はない。
 東電が打開策として期待するのが、ストロンチウムも含めいろいろな放射性物質を除去できる装置だ。
 敷地内のテニスコートだった場所に設置される予定で、現場ではショベルカーなどの重機が基礎工事を進めている段階だった。完成は秋になるという。
 4号機に向かう途中の道路脇では、黒い遮水シートが張られた大きな穴が見えた。
 いくら広い原発の敷地でも、これだけの数のタンクが並ぶと空き地は少ない。あるにはあるが、上空の送電線がじゃまになり、タンクを重機でつり上げられない場所が多い。そこで、地中にため池を造るのだという。
 敷地内の高台でバスを降りた。ここにも円筒形のタンクが林立していた。「タンクは無尽蔵につくれるわけではない。いずれ満杯になることも想定しなければ」と案内役の東電社員。タンクなどの容量は現在二十万トンまで拡張されたが、現在の余裕は約五万トンしかない。約四カ月でいっぱいになる。
 ストロンチウムなども除去し、法律での基準値以下になれば海に放出することもあるのか。案内役に尋ねると、こんな答えが返ってきた。「そういったことも、いずれ地元などにご相談しなくてはいけないかもしれない」

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