すべて条件付き「イエス」 大飯原発 安全委も妥当 「しかし」27項目注文

 関西電力大飯(おおい)原発(福井県おおい町)3、4号機の安全評価(ストレステスト)の一次評価で、原子力安全委員会は二十三日の臨時会合で、経済産業省原子力安全・保安院が妥当とした判断を了承した。再稼働に向けた手続きが一つ進んだ形だが、安全委の報告書は、大飯原発は安全と判断されたのか、そうでないのか読み取れない。これで地元の了解が得られるのか、疑問の残る結果となった。

「YES」迫る政府に、班目委員長が「but」で反論

 「要するに、すべて『yes(イエス) but(バット=しかし)』なんです」
 班目(まだらめ)春樹委員長は同日の記者会見で、安全委の報告書についてこうコメントした。つまり、以前に比べて安全性が増した部分はあるが、簡易版の一次評価だけでは分からない部分がいろいろある-ということだ。
 ただ、報告書で「イエス」の部分を探しても、多くは見つからない。全交流電源喪失など危機的な状況も想定した評価手法が取り入れられたことや、非常用電源車の高台への配備など東京電力福島第一原発事故を受け導入された緊急安全対策に一定の効果があると確認されたことなどを挙げたくらいだ。
 これに対し、「バット」の部分の方が圧倒的に多い。今後の安全対策への注文は二十七項目にも及び、報告書の半分以上を割いた。
 最大の注文は「一次評価は簡略な方法にすぎない。被害拡大を防ぐ対策までを検証する二次評価を速やかに実施すべきだ」と求めたこと。これは、かねて班目氏が主張する「一次評価だけでは総合的な安全性評価はできない」をそのまま書いたものだ。
 過酷事故(シビアアクシデント)対策はこれまで電力事業者の自主的努力と位置づけ、任せきりにしていた点も指摘し、今後、規制官庁がきちんとチェックできるか疑問を投げかけた。福島事故を機に、断層や津波のメカニズムなど新たな科学的な事実が掘り起こされており、最新の事実に基づいた安全性向上の努力を続けることが肝要とも説いた。
 大飯原発3、4号機は、一次評価の技術的な安全確認が終わった初めてのケース。
 安全委として再稼働にお墨付きを与えたのか-。この点に記者の質問が集中したが、班目氏は「安全性の確認は保安院の責任。そちらに聞いて」と、責任回避とも受け取られる答えを繰り返した。

(メモ)1次評価と2次評価

 安全評価(ストレステスト)には、定期検査入りした原発を再稼働させる前提となる1次評価と、全原発で実施する2次評価に分かれる。欧州の制度にならい導入したが、欧州では区分けはない。1次評価は、何メートルの津波に襲われればポンプが水没するかなど重大事故につながる弱点を探る。これに対し、2次評価は事故が起きた後、被害拡大を防ぐ備えは十分かなど原発全体の安全性までチェックする違いがある。

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