中間貯蔵予定地 汚染土搬入 見切り発車 協議不十分「地権者を挑発」

 東京電力福島第一原発事故の除染で出た福島県内の汚染土などの廃棄物を、中間貯蔵施設予定地の保管場に搬入する作業が十三日始まった。環境省は地権者の理解をほとんど得ないまま、見切り発車した。確保済みの用地はごくわずか。すぐに満杯になり、地権者の不信感が募るだけの結果に終わる可能性もある。(荒井六貴)

中間貯蔵施設の予定地に運び込まれた汚染土=13日午後、大熊町で

 この日午後一時ごろ、福島県大熊町の常磐自動車道沿いの仮置き場で、汚染土の詰まった黒い袋を、クレーンで大型トラックに積み込む作業が始まった。作業員十五人ほどが袋を見上げながら、ゆっくり荷台に誘導した。六袋を積んだトラックは約十五キロ先の中間貯蔵施設予定地の保管場まで一般道を三十分ほど走って到着。施設内専用のトラックに積み替えられ、保管場に平積みされていった。
 見切り発車ではないか、と問われた環境省中間貯蔵施設等整備事務所の藤塚哲朗所長は「避難などで連絡が取れない地権者もいて時間がかかる。やれることからやろうと考えている」と強調した。
 中間貯蔵施設の先行きは明るくはない。
 双葉町の予定地に自宅や田畑を持つ自営業遠藤浩幸さん(49)は「施設が必要なのは分かるが、住民と土地買い取りの条件も話し合っていないのに、勝手に進めている。なし崩しで施設が造られる。環境省は挑発しているようだ」と憤る。
 二千三百人以上いる地権者の合意は、ほとんど取れていない。国が確保済みの用地は約二万袋分にすぎない。この日運び出した仮置き場だけで三万七千あり、県内全体では六百万以上ある。放射線量の高い地域の除染が進めば、五倍ほどの数になる見通し。
 用地確保が進まないのは、環境省が提示する買い取り額が事故前の水準の半額程度と低いことも大きい。築七年の家を持つ原発作業員の草野健一さん(43)は「いわき市に土地と家を買おうと考えているが、今の額では無理。埼玉県に避難する家族と一緒に暮らすこともできない」と訴える。
 批判は搬入を容認した地元自治体にも向かい、十二日には、遠藤さんら住民三人が双葉町の伊沢史朗町長に搬入の白紙撤回を求め直談判する一幕もあった。
 国は搬入開始後三十年以内に福島県外で最終処分を終えると約束したが白紙の状態。このことも住民が不信感を強める原因だ。

(メモ)中間貯蔵施設

 福島第一原発を囲うように双葉町と大熊町にまたがる約16平方キロに、国は約2200万袋分を貯蔵できる施設を建設する計画。総事業費は約1兆1000億円に上る。焼却などにより体積をうまく減らせることが計画の前提で、さらに容積が必要になる可能性もある。搬入が始まったことで、国は2045年3月12日までに、福島県外で最終処分場を見つけ、運び出しを終える義務を負った。

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