AtoZ もんじゅ廃炉決定

 政府は昨年末、原発で出た使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル事業の要である高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉を決めた。巨費を投じながら、ほとんど稼働しなかった。名実ともに核燃サイクルは破綻したが、政府はまだ夢にしがみついている。(原発取材班・小川慎一、山川剛史)

なぜ? ずさん、壮大な無駄

 核燃料サイクルは、再処理工場で使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜてMOX(モックス)燃料に加工し、再利用する構想をいう。
 再利用は、通常の原発と高速炉の二つの道筋が想定されている。それぞれに再処理工場とMOX工場を循環して再利用を繰り返す「輪」となるはずだった。とくにもんじゅは発電しながら使った以上の核燃料を生み出す「夢の原子炉」と宣伝された。しかし冷却材として爆発の危険があるナトリウムを使うため、管理が難しく構造も複雑だ。
 もんじゅは一九九四年、核分裂が連続的に起きる臨界に達したが、トラブル続きでその後の二十二年間で稼働はわずか二百五十日だった。九五年十二月に配管からナトリウムが漏れる事故が発生。ナトリウムの性質を十分理解しない設計ミスが原因だった。当時の運営主体だった動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は事故現場の映像を隠し、うその報告をして、信用を完全に失った。
 動燃は解体を迫られ、改組と統合を経て、二〇〇五年からは日本原子力研究開発機構(原子力機構)が担ってきた。
 一〇年五月、十四年半ぶりに運転を再開したが、三カ月後に燃料交換用機器が原子炉容器内に落下し、再び停止した。
 一二年には一万件近い機器の点検漏れが発覚。原子力規制委員会は運転禁止を命じ、一五年十一月には、原子力機構を退場させ、安全に施設を管理できる運営主体を探すか、核燃料を取り出すなどの措置を講じるよう所管の文部科学相に勧告した。
 結局、もんじゅの新たな担い手は見つからず、再稼働には原発の新規制基準に適合するための耐震工事などで五千四百億円以上かかることが判明。政府は昨年十二月に廃炉を決めた。もんじゅだけで一兆円以上の資金が投じられたが、実績も検証もないまま終わった。

今後は? 検証なく 負担続く

 もんじゅの廃炉決定は当然だが、問題なのは、政府が同時に破綻した核燃料サイクル事業の延命も決めたことだ。
 通常の原発の方の輪も、再処理工場(青森県六ケ所村)は二十年以上も前に着工したのに二十三回も完成時期を先延ばししている。一八年度上期が完成目標というが、先行きは不透明。MOX燃料工場(同)も一九年度上期が完成予定で、核燃料リサイクルに至っていない。稼働中の四国電力伊方原発3号機(愛媛県)は、MOX燃料を使ってはいるが、フランス製だ。
 高速炉を中心とした輪も、再処理工場などは全くの白紙。もんじゅ廃炉で、こちらの輪は完全消滅した。
 本紙が一五年に独自集計した結果、こんな惨状の核燃サイクルに十二兆円超の巨費が投じられてきた。しかし、原発を除けば、何も機能していない。
 直近の政府試算では、もんじゅの廃炉費用は三千七百五十億円と本紙集計から千八百九十億円も膨らんだ。再処理の際に出る高レベル放射性廃棄物の最終処分は、現在積み立ててある約一兆円では足りない。あと二兆七千億円は必要になるという。使用済み核燃料の最終処分は必要としても、これ以上、あてのないまま核燃サイクルに資金を注ぎ込むのは合理的なのか。
 政府はフランスが進める新型高速炉「ASTRID」(アストリッド)計画に参加し、もんじゅに代わる新型高速炉の開発を進めるという。ただし、この計画は机上の構想の段階で、事業化しない可能性もある。完成目標は三〇年ごろだ。
 政府は、原発大国のフランスに接近することで、核燃サイクルを延命させようとする。ただし、フランスでは原発系の輪は機能し、高レベル廃棄物の最終処分場の建設にもめどをつけつつある。やるべきことをやった上で、新たな道を模索している。検証もないまま、国民負担を増やす日本とは大きく異なる。

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