玄海シェルター受注問題 原発対策が電力子会社潤す 除染などと同じ構図

 再稼働が近づく九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)を巡り、九電の関係会社などが、事故時に住民を一時避難させるため税金で整備される放射能シェルター工事を次々と受注していた。原発の対策事業で九電の関係会社が潤う形だ。これまでも似た構図の事業が判明している。(荒井六貴、山川剛史)

建設途中の放射能シェルター。設計監理、設備工事とも九州電力の関係会社が受注している=佐賀県唐津市の馬渡(まだら)島で

集中受注

 玄海原発の三十キロ圏内には離島が十七あり、約一万九千人が暮らす。住民避難の課題取材で、九月下旬、馬渡(まだら)島(佐賀県唐津市)を訪れると、シェルターの新設工事が進んでいた。
 工事の案内看板を見ると「設計・監理 西日本技術開発」。九電の関係会社が集中的にシェルターの受注をしている、との事前情報を裏付ける現場だった。
 離島の住民は、原発で重大事故が起き、放射性物質が飛んでくる危険が迫っても、海が荒れていれば船での避難は難しい。シェルターは、脱出できるまで住民を守るためのものだ。
 発注した自治体や社会福祉法人などに入札経過を尋ね、必要に応じ情報公開請求もした。その結果をまとめた。看板で見た西日本技術開発は、設計監理の業務では全体の四割を占め、特に長崎県内はほぼ独占。松浦市では、随意契約で受注していた。

たまたま

 シェルターは、建物の気密性を保ち、室内側の気圧を外側より高めにすることで汚染を室内に入れないようにする。空気の取り込み口には放射性物質用のフィルターを取り付ける。
 特殊といえば特殊な施設だが、使っているサッシや空気を引き込むダクト、送風機は通常の製品。
 松浦市と随意契約した西日本技術開発も「通常の空調設備とは異なる技術が必要でないかという判断で、協力の依頼があった。その後は、特殊な技術は必要ないことが分かり、競争入札で受注している」と、文書で本紙に答えた。
 受注した全ての九電関係会社に言い分を聞いたが、「たまたま取れた」「通常の流れで応札」など問題なしとの答えだった。事業を担当する内閣府にも問うたが、担当者は「適切な技術を有する会社が、適切な価格で実施していくことが重要だ」とコメントした。

似た利権 本紙調査でいくつも判明

 原発がもたらすリスクや事故被害の対策事業が、原因をつくった電力会社の関係会社の収入源となる事例は、本紙の調査でいくつも判明している。
 例えば原発事故時に省庁や地元自治体、電力会社の担当者が集まる拠点であるオフサイトセンターの支援業務。国はセンター内の機器の定期点検などを発注しているが、東京電力の原発周辺は東電の子会社、関西電力なら関電の子会社という具合に、きれいにすみ分けて受注していた。事故時はセンターを立ち上げる業務も含まれ、近くに担当者を配置する必要があるものの、電力子会社である必然性はない。一般競争入札はしたが、他の入札者はなく、実質的な競争はなかった。
 福島事故に伴う除染事業では、事故を起こした東電の子会社や東電OBが役員の企業が、ゼネコンの上位下請けに入っていた。各社とも「福島復興に貢献したい」と答えた。最終的には東電が負担する可能性もあるが、当面は事業の原資は税金で賄われている。

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