セシウム蓄積 表層から海底下30センチにも 

 東京電力福島第一原発事故が及ぼした首都圏への影響はどの程度なのか。私たちの足元も見つめようと始めた東京湾の放射能調査は3回目となった。今回は海底の表面だけでなく、その下の堆積物も柱状にくりぬき採取する道具を新調。その結果から見えたのは、川を通じて新たな蓄積が続いている事実だった。(山川剛史、小川慎一)

花見川河口で堆積物を採取する鎌田素之准教授(手前)と学生の山崎真さん

原発事故の影響は続いている

 荒れ気味の天気が続く中で、調査に選んだ九月十六、十七の両日は、暑くもなく、風もない絶好の採取日和となった。
 午前七時、記者二人のほか、関東学院大の鎌田素之(もとゆき)准教授(環境工学)と学生の河原木洋輔さん(25)、山崎真さん(22)の計五人が乗ったボートは、東京湾に注ぐ主要河川に向け、横浜市金沢区のマリーナを出発した。
 横浜市のコンビナート地帯に注ぐ鶴見川での採取を終え、羽田空港D滑走路脇の多摩川河口(東京都と川崎市の境)に向かった。ここでは、柱状に堆積物を採取できる新しい採泥器も投入した。ボーリング調査の海洋版といえ、事故後にどう堆積してきたか歴史をたどることができる。
 事前に霞ケ浦(茨城県)の水路で練習した際はいとも簡単に採取できた。しかし、ボートの上から何本も鉄パイプをつなぎ、採泥器本体を数メートル下の海底に打ち込むのはとても難しかった。しかも多摩川河口の堆積物は、水とも泥ともいえないようなトロトロの状態。一時間近く格闘して採取はできたが、あるがままの形で採取できたか確信が持てなかった。
 ほかの柱状試料と同様、五センチごとに放射性セシウムの濃度測定もし、確からしいデータは出たが、鎌田准教授と話し合い、「確信のない試料は除外する」との結論になった。
 多摩川で苦労してコツをつかんだおかげで、その後は順調だった。荒川(東京都)と花見川(千葉県)でも、きれいに堆積層を抜け、下の粘土層までくりぬくことができた。
 結果は図表の通り。セシウム汚染された層の上に、濃度の低い層が積もっていく展開を予想していたが、そうではなかった。海底下三十センチほどまで、大きな濃度変化はなかった。直近地点の表面の試料でも、同じような濃度が出ている。
 上流から新たなセシウムが運ばれてきている。言い換えれば、まだ原発事故の影響が続いていることを示している。危うい状況とまでは言えないが、一日も早く終わることを願う。

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