九電 オール電化CM再開へ 電力余っても原発再稼働

 九州電力が家庭向けのオール電化商品の売り込みの強化のため、今月にもテレビCMを再開する。東京電力福島第一原発事故を機に自粛していたが、川内(せんだい)原発(鹿児島県)1、2号機が再稼働し、来春には玄海原発3、4号機(佐賀県)の再稼働も目指す中、電力供給がだぶつくことが予想されるためだ。オール電化で電力消費を増やそうとの思惑があるが、世の中に定着しつつある節電志向とは逆行する。(荒井六貴)

オール電化のメリットを強調する九電のホームページ

節電志向に逆行

 「光熱費で選べば、電化でしょ!」「火を使わない安心感 お手入れカンタンなIH」-。九電のホームページに、オール電化の売り込み文句が並ぶ。今月一日から年末まで、同社が進める「オール電化キャンペーン」だ。
 九州地方でスタート予定のCMも、その一環。オール電化の目標は一万三千戸。九電の契約者が、電気給湯器やIHクッキングヒーター(電磁こんろ)を購入し、九電の無料会員サイトに登録すると、熊本県の名産品などが抽選で当たるという。
 二〇一一年三月の福島第一原発事故後、オール電化は「電気を使いすぎる」「省エネに逆行する」と批判が出た。九電も電力不足を理由に、オール電化の売り込みを自粛してきた。
 だが、昨年八月に川内1号機、同年十月に2号機が再稼働し、九電管内の電力供給は余裕があるというより、むしろだぶつき気味の日も多い。
 家電製品の省エネ性能が上がり、節電も定着したことで、九州の電力消費量は低下傾向にある。一〇年の夏場の最大電力消費量は千七百五十万キロワットだったのに対し、今年は八月二十二日の千五百五十万キロワットがピーク。川内原発二基分(計百七十八万キロワット)を超える消費量が減った。
 オール電化の営業強化について、九電の広報担当者は「川内原発が稼働し、電力供給に余裕が出てきた」と説明。また玄海原発3、4号機は、原子力規制委員会による新基準に基づく審査が実質的に終わっており、今月中にも「適合」の判断が示される見通しだ。

東電は新潟で柏崎刈羽のCM 知事選後も「続行」

 東京電力はオール電化のCMは控えているものの、柏崎刈羽原発が立地する新潟県で、安全対策を宣伝するCMを一年以上、放映している。県知事選で当選した米山隆一氏は「県民の命と暮らしが守られない現状において、再稼働は認められない」と主張するが、東電は「安全対策を理解してもらうことと、説明することは務めなので、CMは継続する」(新潟本社)と話している。
 「柏崎刈羽原発では福島第一の事故を踏まえ、対策、対応を進めております」「事故の反省を胸に刻み、災害に強い発電所づくりに全力を尽くします」
 東電は昨年六月から、こんな三十秒CMを新潟県内で放映している。民放四社で、回数は月に計三百二十本。「津波対策編」「電源対策編」など五種類あり、高さ十五メートルの防潮堤が建設されたことが描かれたり、職員の決意表明を紹介したりしている。
 これに対し、原発事故の避難者らが今年三月、「お金を支援に使ってほしい」「都合のいい情報だけ出している」などと中止を要請した。しかし、東電は突っぱね、CMにかかった経費の公開も応じていない。
 こうした東電の姿勢に、泉田裕彦知事も「再稼働のキャンペーンだとすると罪深い」と、疑問を呈していた。

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