再開の道のり曲折

波状に曲がった常磐線のレール。交換作業が進んでいた=9月30日、福島県富岡町で、小川慎一撮影
放射線の遮へい能力を試すため、JR東日本が置いたトンネル状の構造物=大熊町で

再開の道のり曲折 JR常磐線

 東京電力福島第一原発事故で不通になっている福島県内のJR常磐線竜田(楢葉町)-小高(南相馬市)の工事で、試行錯誤が続いている。放射線量が高い地域では除染の効果にも限界があり、福島第一に近い区間は線路をトンネル状のコンクリート構造物で覆う試みなど手探り状態。JR東日本は二〇二〇年東京五輪・パラリンピックまでに復旧させたい考えだ。 (荒井六貴)

高線量対策にトンネルも

 特に厳しい状況にあるのは、竜田-浪江(浪江町)の区間。地震で線路が曲がり、橋が落ち、津波で盛り土ごと線路が流されるなどの被害が出た。放射能の影響も大きく、夜ノ森、大野、双葉の三駅は帰還困難区域内にある。本格的な工事は今年三月に始まった。
 JR東は線路の交換や設備の修繕に加え、放射線量の高い区間では草を刈り、枕木や砂利を交換するほか、汚染された盛り土の表土をはぎ取る作業を進めている。
 ただ、線路周辺の除染だけでは、放射線量を下げるにも限界がある。線路近くにある大熊町の集会所のモニタリングポストは、いまだに毎時一〇マイクロシーベルトを超えている。国の長期的な除染目標の四十倍超の値だ。
 このためJR東は、八月から大熊町の大野-双葉間の線路にトンネル状のコンクリート製の構造物(長さ約一〇メートル、高さ四・五メートル、幅四メートル)を試験的に設置し、どれくらい線量を下げる効果があるか調べている。
 JR東水戸支社の担当者は「除染しても、十分線量が下がらない地点がいくつかあるのは事実。専門家の意見を聴きながら、コンクリート構造物のトンネル建設の検討も含め、復旧作業を続けていく」と説明した。
 線路にコンクリート構造物が置いてあるのを見た大熊町出身の自営業志賀長久さん(58)は「周囲は線量が高く、トンネルを建設するのかと思った。常磐線が復旧すれば、帰還につながる一つの希望にはなる」と期待している。

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