美浜3号機「適合」 「40年廃炉」骨抜き

 「例外中の例外」とされた老朽原発の延長運転がまた認められることになった。早くも三基目となる。原子力規制委員会は、関西電力美浜原発3号機(福井県)が十一月末に四十年の運転期間満了を迎えることから「時間切れ廃炉」を避けるため、急いで審査を進めた。国内で導入実績のない設備を十分に検証しないまま、新規制基準に「適合」と判断するなど、拙速さも目立った。(高橋雅人)

老朽

 五日の規制委の決定は、形式的には美浜3号機が耐震工事などを進めれば、東京電力福島第一原発事故後に定められた新しい規制基準を満たすというもの。これだけで延長運転が認められるわけではなく、十一月末までに老朽対策の工事認可も受ける必要がある。ただ、原子炉本体や建屋に問題はないとされ、新基準をクリアしたことで、事実上、規制委は運転延長に道を開いた。
 運転延長は高浜1、2号機に次いで二原発三基目となる。原子炉等規制法を改正し、四十年廃炉を導入した当時の細野豪志原発担当相は「例外中の例外」と明言。政府のエネルギー政策の文書にも「四十年制限を厳格に適用する」と明記されたが、骨抜きが確定的になった。
 新基準ができて以降、六基の廃炉が決まったが、いずれも出力が小さく、対策工事費に見合わないとの判断からだった。他の原発は中型か大型が中心で、電力会社は延長運転を求めてくる見通しだ。

関西電力美浜原発の3号機(手前)。左奥は1号機、中央は2号機=福井県美浜町で

怒り

 美浜3号機の審査は、運転期限の十一月三十日を強く意識して進められた。この日までに新基準と老朽化の両方の審査をパスしないと廃炉が決まるからだ。
 関電による基準地震動(耐震設計で基準となる揺れ)の見直しや設計変更に時間がかかり、規制委は慌ただしい審査を迫られた。
 その好例が、使用済み核燃料プール内で核燃料をきれいに収めるラック(容器)を巡る審査だ。関電は当初、床面にラックをボルト固定する従来通りの構造にする予定だったが、十分に耐震性があると納得させるデータを提出できなかった。
 「これだけ急いで審査しようとしているのに、何でデータが出てこないのか。検討中とか言っている時間じゃない」
 期限まで一年を切った昨年十二月九日の審査会合で、規制委の審査担当者は関電に怒りを爆発させた。関電は免震型にすることで規制委の了承を得た。

不安

 ただし、免震型のラックは国内の導入実績がない。実験データがあるというものの、関電によると、実験は福島事故より前で、美浜3号機での使用を前提にもしていない。規制委の担当者は「工事計画認可と使用前検査で確認する」と強調するが、不安要素の一つとして残る。
 もう一つの不安要素は、耐震設計の目安としている地震の揺れの強さだ。
 地震学者で前規制委員長代理の島崎邦彦・東大名誉教授は、主に採用されている地震動の計算式は想定される地震の揺れの強さの過小評価につながると、問題提起した。美浜原発でも同じ計算式を使っている。
 規制委は独自に検証しようとしたが、失敗。反論の裏付けとなる具体的なデータがないまま、島崎氏の問題提起は「学会のコンセンサスになっていない」として退けた。
 原発の地震動評価を検証する長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産管理システム)は「審査が期限ありきで進んでいるため、今の規制委は疑問が生じても見直す余裕がない。規制のあり方が問われている」と指摘する。

関連記事