もんじゅ廃炉へ 破綻する核燃サイクル

 政府が高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)を廃炉にする方向で動きだした。既に古くなったうえに実用化のめどはなく、維持費ばかりがかさむ。十二兆円をつぎ込んできた核燃料サイクルの中心的存在が消えるなら、核燃サイクルそのものにも終止符を打たないと、国民負担は増え続ける。(山川剛史

高速増殖原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市で

回らぬ輪

 「日本は資源が乏しい。核燃サイクルを実現させれば、準国産のエネルギー源を手にできる」。政府は、二つのリサイクルの輪を示し、核燃サイクルを宣伝し続けてきた。
 原発で使い終わった核燃料は、再処理でプルトニウムを取り出して混合酸化物(MOX)燃料に再利用。もんじゅのような高速炉の輪では、使ったより多くのエネルギー源を生み出す-との内容だ。
 「純国産」ではなく「準国産」としたのは、ウソになるからだ。そもそも原料のウランは輸入で、MOX燃料も国内製造できない。
 正直なのはそこまでで、二つの輪は回るどころか、図の通り、形があるのは原発と再処理工場、もんじゅのみ。再処理工場はトラブル続きで、いまだ稼働は見通せない。MOX燃料工場は建設中。一方の高速炉の輪は、もんじゅが廃炉になると完全に消滅することになる。核燃サイクル全体を見ると、残るのは原発だけとなる。
 こんな実情の輪に、本紙の調査では、これまでに十二兆円が投じられた。さらに年間千六百億円ずつ膨らんでいく。

プルサーマル

 「プルサーマル発電」と称し原発でMOX燃料を使うことは可能だ。現在、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)で使われている。大津地裁の仮処分命令で停止中の関西電力高浜3、4号機(福井県)でも使われていた。
 福島事故の前も、全国の十六~十八基でプルサーマル導入を目指したが、各地で反対が起きた。シンポジウムで賛成の質問をさせる「やらせメール」問題を起こしてまで推進したが、伊方、高浜の両原発のほかに実績があるのは、東京電力福島第一3号機と九州電力玄海3号機(佐賀県)しかない。
 当面、動く可能性がある新規制基準による審査中の原発で、プルサーマルを予定しているのは五基にとどまっている。建設中の電源開発大間原発(青森県)は、燃料にすべてMOX燃料を使うが、前例のない形式のため、原子力規制委員会も「別個に考える必要がある」と慎重姿勢で、審査は長期にわたる見通しだ。

先送り

 今後、政府はプルサーマル推進と高速炉研究を続けることで、核燃サイクルを延命させようとする可能性が高い。これまで何度も計画から撤退するチャンスはあったが、巨額を投じてきた計画破綻の責任を負わされるのを恐れ、ズルズルと先送りしてきた。
 しかし、もんじゅなき後にかろうじて残るのは、プルサーマル発電の道だけ。この道にしても、再処理工場やMOX燃料工場が稼働し始めないと、海外依存は続く。使用済みのMOX燃料は、通常の核燃料より冷却するのに長い期間がかかり、有害な放射性物質の量も格段に多く、最終処分をどうするのかは白紙だ。核燃サイクルからの撤退を先送りすればするほど、お金と廃棄物の両面で後世へのツケは膨らむ。

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