地元同意拡大など課題  川内停止拒否 知事が「遺憾」 

 九州電力は五日、鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事が要請した川内(せんだい)原発の即時一時停止には応じないことを、三反園氏に伝えた。十月以降の定期検査で設備点検をし、通常より点検項目も増やすとしたが、三反園氏は「極めて遺憾」と述べた。川内原発には避難計画の実効性のほか、立地する薩摩川内市しか再稼働協議に参加できないなどの問題がある。三反園氏が今後、どんな手を打つかが焦点になる。

問われる知事の力量

 この日、三反園氏は県庁で九電の瓜生(うりう)道明社長から回答書を受け取った。
 九電は熊本地震の影響は既に確認済みだと強調。1号機は十月、2号機は十二月に定期検査に入る予定で、停止中の二、三カ月の間に、検査項目とは別に、圧力容器や使用済み核燃料を収納するラックに問題がないかを水中カメラで確認することで理解を得たい考えを示した。
 三反園氏が要請していた避難計画への支援体制の強化については、三十キロ圏の自治体に避難用車両十数台を追加配備するほか、事故時には社員らが駆け付け、山間部などの高齢者避難を助ける方針を示した。
 九電から若干の回答を引き出した三反園氏。今後は避難計画など山積する問題を、知事としていかに解決できるかが焦点となる。
 原発で冷却機能が失われるなどの事故が起きれば、五キロ圏の住民をいち早く逃がすため、その外側の住民は自宅や避難所で屋内退避するのが原則とされる。しかし、熊本地震では避難所の天井の一部が崩れるなどの被害が発生した。避難指示が五キロ圏外にも及ぶと、避難ルートの確保や渋滞の回避、住民への確実な指示伝達、一部住民に関しては熊本県と受け入れ態勢を整える必要もある。
 再稼働の地元同意では、県と薩摩川内市だけが協議に加われる。
 福島第一原発の事故後、薩摩川内市に隣接するいちき串木野、阿久根両市は意見を言うことができるようになったが、地元同意の枠組みからは外されている。鹿児島、出水(いずみ)、日置、姶良(あいら)の四市とさつま、長島の二町は、事故時は連絡をもらえるようになったが、再稼働には意見すら言えないのが現状だ。
 福島の原発事故では、三十キロ圏のほぼ全ての地域で住民が行政の指示で避難を迫られている。事故被害の現実と、川内原発周辺の自治体の発言権には大きなずれがある。そのあり方は、知事が変えられる。(荒井六貴)

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