核のごみ最終処分場 候補地基準を了承 不透明な海底案 高評価

 経済産業省は九日、使用済み核燃料など原発から出る「核のごみ(高レベル放射性廃棄物)」の最終処分地としての適性を判断する基準を大筋で決めた。火山や断層からの距離などを基に、十二月にも日本列島を「適性が低い」「あり」「高い」の三色に塗り分けた地図を公表。受け入れに前向きな自治体を探して詳しい調査を申し入れる方針だが、難航も予想される。(吉田通夫)

■該当

 核のごみは、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り除く「再処理」で出る廃液。強い放射線を出し続けるため、政府は廃液を溶けたガラスに混ぜて固めて金属容器に入れ、地下三百メートル以上に処分場をつくって埋設しようとしている。十万年もの長期にわたる隔離が必要で、適性地域でも地震が頻発する日本では安全への懸念が根強い。政府は二〇〇二年から処分場を受け入れてくれる自治体の立候補を待ったが決まらず、一五年に自ら候補地を選ぶ方針に変えた。
 経産省が大筋で決めた基準では、火山から半径十五キロ以内や活断層の近く、地層が軟弱な区域などに一つでも該当すれば「適性の低い地域」とする。それ以外はすべて「適性のある地域」で、列島の大半が含まれる見込みだ。
 住宅密集地を避けるなど社会的な条件も加味し、十二月にも日本列島で適性ありと判断した地域を色分けした地図を公表。説明会などを通じて受け入れに前向きな自治体を探し、より詳しい調査への協力を申し入れる。詳しい調査とは▽過去の地震の記録を調べる「文献調査」(二年程度)▽ボーリング調査で地層を調べる「概要調査」(四年程度)▽地下に施設をつくって断層や岩盤を調べる「精密調査」(十四年程度)-の三段階。各段階ごとに首長の意見を聞き、反対だと次の段階に進めない。

■制約

 今回初めて正式に示したのは、「適性あり」とした地域の中でも、海岸から約十五キロ以内の海底を「より適性の高い地域」とする基準だ。これまで、海上輸送する核のごみの運びやすさを考慮して海岸から二十キロ以内の陸地は「高い」とされていたが、海底に高レベル放射性廃棄物の最終処分場を造成した前例は、世界にもない。
 経産省が海底を本格的に検討し始めたのは今年一月から。学識者らによる「研究会」を立ち上げ、今月に「技術的な実現可能性がある」と結論づけた。あくまでも「可能性」にすぎず、分からないことも多いため「技術の向上やデータの拡充などに取り組み、信頼性を高めることが重要だ」としている。
 それでも経産省が海底を有力視するのは「基本的には公有地のため、土地利用に関する制約が小さい」(経産省関係者)からだ。最終処分場に必要な敷地は東京ドーム二百個分。陸上では多くの地権者と交渉しなければならず、土地利用の規制に抵触する可能性も高まるため、地権者のいない海底に白羽の矢を立てた。

■反発

 しかし、海底処分場とはいえ、構造上、地上からの入り口は陸上に設けなければならず、地元自治体の同意は必要。住民や漁協の反発も予想される。今年四月には、佐賀県玄海町の岸本英雄町長が海底も含めて受け入れに積極的な発言をしたが、住民らの反発で「現段階では受け入れは難しい」と変えた。ほかに前向きな自治体は見られない。
 明治大の勝田忠広准教授(原子力政策)は「ただでさえ不確定要素の多い最終処分計画なのに、さらに不透明感の強い海底案が浮上したときには驚いた」と指摘。「国民の安心と納得を求めるという原子力政策の在り方に逆行しており、同意を得るのは容易ではないだろう」と話した。

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