美浜3号機「適合」 地元新設 透ける思惑 関電 十数年の延長に巨費

 原子力規制委員会が三日、運転開始から四十年の関西電力美浜原発3号機(福井県)の運転延長に道を開く判断を示した。美浜1、2号機は廃炉が決まり、一基だけが残る。再稼働には老朽化対策や新規制基準を満たす膨大な費用がかかる一方、出力は決して大きくない。関電がそこまでして3号機を残そうとする背景には、美浜の地に大型原発を新設する可能性を残そうとする思惑が見え隠れする。(塚田真裕)

奥から美浜原発1号機、2号機、3号機=福井県美浜町で

高額

 美浜3号機を新基準に適合させる費用は、千六百五十億円にのぼる。先に運転延長が認められた関電高浜1、2号機(福井県)の対策費は一基あたり千六十億円で、美浜3号機はかなり割高だ。想定される地震動が大きく、各所に耐震補強をし、使用済み核燃料を収納するラックを頑丈なものに取り換える必要が出た。原発の熱を海に逃す海水ポンプを、津波から守る大規模な防潮堤の新設も迫られたためだ。
 その一方で出力は八二・六万キロワットと、百万キロワットを優に超える原発が当たり前になる中で、やや小ぶりとなっている。しかも、延長が認められても、運転できるのは最大二〇三六年十一月まで。対策工事には四年近くかかるため、稼働期間は十六年ほどにすぎない。

固執

 それでも関電は「再稼働は経済性がある」と運転延長の決断をした。
 限られた人員しかいない規制委に審査が集中し、審査は滞り気味。美浜3号機は今年十一月までに新基準や老朽化の審査に全部パスしないと廃炉が決まる。
 そんな状況の中、規制委からは「締め切りまでに間に合うか確信の持てる状況に全くない。長い時間をかけても認可に至らないということが十分ある」と、美浜3号機の申請を取り下げ、大飯(おおい)原発3、4号機(福井県)に注力することを暗に促された。
 だが関電は「どちらも大切。バランス良く効率的な審査を」「甲乙付けがたい重要な課題」と、美浜3号機の運転延長に固執した。

背景

 ここまで関電が美浜3号機に固執する背景には、福島の原発事故以降、新たに原発の建設用地を確保するのは極めて難しい状況の中で、新しく出力の大きい原発を建てたいという思惑が透けて見える。
 美浜に原子力の灯を残して立地自治体との関係を保ちながら、潮目が変わるのを待っていると言える。
 関電は、後継機建設に向け、美浜町内で地質調査をしていたが、途中で東日本大震災が発生。当時の野田佳彦首相が新設は「基本的に困難」との認識を示したこともあり、一二年三月に調査継続をいったんは断念した。
 しかし、現政権が原発推進路線を強く打ち出す中、今年三月、八木誠社長(当時、現会長)は「当社の思いは変わっていない」と、再び原発新設への意欲を見せた。
 原発マネーに依存する美浜町にしても、1、2号機の廃炉決定により、交付金や固定資産税などが約八億五千万円(一六年度)減る中で、原発維持は財源確保につながる。山口治太郎町長は、美浜3号機の運転延長を申請した際「重要な原発と考えている」と歓迎の意を表明している。
 「基本的には国に、新増設、リプレース(新しい原発への建て替え)の必要性を明確にうたっていただくことが必要」。八木氏はこうも語っている。

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