福島 進まぬ中間貯蔵 現状わずか2.2% 地権者に不信感「土地返す気あるか」

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出た汚染土などの廃棄物が土のうに詰められ、福島県内各地に積み上げられている。環境省は東京五輪が開かれる二〇二〇年度までに六割近くを原発周辺に計画中の中間貯蔵施設に集め、土のうの山を減らして復興をアピールする考えだが、用地の確保はまだ2%強しか進んでいない。(荒井六貴、山川剛史)

除染で大量発生する汚染土は、仮置き場に山積=富岡町で

ため息

 福島第一の二十キロほど南にある楢葉町は昨年九月に避難指示が解除された。帰還したり、帰還を検討している住民たちは、緑色の保護シートで覆われた除染廃棄物の山をいや応なく見ることになる。
 四月に帰還した青木良美さん(80)宅前には田畑が広がるが、廃棄物の山が居座っている。「あれは動かねえ。何年かかるか分かんねえ」と顔をしかめた。しかも、自宅前の道路はひっきりなしに除染で使われるダンプが行き来する。
 来年三月に帰還する予定の主婦(70)も「家を挟むように、除染土の仮置き場が二カ所ある。あれを見るだけで、嫌になる」と、ため息をついた。
 隣の富岡町では、農地の汚染された表土をはぎ取り、新たな砂を入れる作業が続いていた。同町では、市街地から離れた海側の巨大な仮置き場に廃棄物を集めようとしている。
 庭の手入れに来ていた元溶接工の男性(60)は「(中間貯蔵施設の予定地の)大熊町や双葉町の事情があるし、こちらはお願いする立場。袋の山は嫌だけど、このまま置いておくしかないだろう」と話した。
 福島県内で出た除染廃棄物は既に千百万袋超あり、さらに三倍弱に増えると見込まれる。

福島第一の周辺一帯は、中間貯蔵施設の予定地。確保できているのはごく一部=本社ヘリ「あさづる」から

工程表

 環境省は昨年三月、わずかに確保できた中間貯蔵施設用地二カ所に、各地から廃棄物を試験的に運び込む作業を始めた。しかし、搬入したのは四万五千袋にすぎない。じりじりと用地の確保面積は増えているが、四月末現在、計画の千六百ヘクタールのうち2・2%しか確保していない。
 だが、同省は「計画地の九割近くで地権者の連絡先が判明し、その九割近くの人に計画を伝えている」など説明。東京五輪がある二〇年度のうちに最大72%の土地を確保し、16~57%の廃棄物を集められるとの工程表を示している。
 工程表に合わせるため、廃棄物を分別する施設の入札手続きも始めた。今年中に着工し、来年には稼働させる計画だが、建設地は未定という異例の発注だ。

30年後

 環境省の皮算用とは裏腹に、地権者の不信感は強い。
 福島に造るのはあくまで中間貯蔵施設で、三十年以内には県外で最終処分されることが施設の関連法で定められている。
 しかし、工程表では、二四年度までは廃棄物を減らす技術開発ばかり。地権者らが最も気にかける県外処分をどう実現するかは、二五年度以降の課題とされている。
 約百人でつくる地権者会の門馬好春事務局長は「環境省は時間稼ぎして、地権者が根負けするのを待っているようだ」とあきれる。
 双葉町のホウレンソウ農家で茨城県に避難中の斉藤宗一さん(66)は「環境省には三十年後の町の復興計画をつくるよう要望しているが、全く聞いてくれない。本当に土地を返す気があるのか。東京五輪も大事だろうが、住民の将来の生活を確保できるようにしてほしい」と訴えた。

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