高浜1、2号機新基準適合/対策は「未」ばかり 緊急時対策所、ケーブル工事…

 運転開始から四十年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の運転延長が認められる可能性が高まってきた。二十四日、原子力規制委員会は対策を進めれば新規制基準に「適合」するとの判断を示した。だが、実際には古くなった原子炉や建屋の安全性はどうなのか審査は終わっておらず、新基準で求められる対策工事もほとんどが計画の段階だ。(塚田真裕)

土台

 規制委の定例会合が開かれる部屋で、審査の経過などを記した審査書案を開き、疑問に感じたのが、四百ページ近い書類の中に、原発の老朽化についての審査が書かれていないことだった。
 老朽化の問題は、原子炉本体など交換できない原発の重要部分に直結する、いわば土台に当たる部分だ。土台の安全性がどう確かめられ、新基準向けの設備が加えられてどう改善されるかが記されていいはずだ。
 実質的な議論はわずか十五分。老朽化に関する議論はなく、田中俊一委員長の「炉内構造物の耐震性は今後、実証試験をしていくの?」との質問に、事務局が「今後、実施していく」と答えただけだった。
 関電は原子炉や建屋を調べる特別点検を実施し「問題ない」との結論を出しているが、審査は途中で、やりとりの通り、実証試験もこれからだ。
 事務局に、こうした点を含めて一体的に審査していない理由を聞くと、「法律が違う」と説明。今回の審査は、新規制基準に対応する方針を確認しただけだという。
 しかし、高浜1、2号機で必要な全ての審査が終わる期限は七月七日。この日に間に合うよう、詳細な工事計画や老朽化の審査が大急ぎで進められていくことになる。

設備

 終わっていないといえば新基準に対応するための設備類もそうだ。
 格納容器上部に増設する鉄筋コンクリート製の放射線遮へいドームのほか、事故時に指揮所や備蓄基地、要員の避難所などの機能を果たす対策拠点の工事は手付かず。
 2号機の冷却に直結する海からの取水管も、想定する地震動の引き上げで、もっと強固な岩盤の中に造り直す必要に迫られたが、まだ始まったばかりだ。ケーブルを防火性能の高いものに替えたり、ケーブルに防火シートを巻いたりする対策も必要だが、ケーブルの長さは1、2号機で計約千三百キロもあり、施工が難しい場所も少なくない。
 主な対策だけで、関電はこれらの工事の完了時期を二〇一九年十月ごろと見込むが、対策拠点や、その支援施設である免震棟の完成時期は見通せない。

要員

 事故収束に欠かせないのは、設備だけではない。要員の安全確保も重要だ。
 通常時の原発作業員の被ばく線量限度は五年で一〇〇ミリシーベルトかつ年間五〇ミリシーベルトだが、四月からは緊急時に限って、一気に二五〇ミリシーベルトに引き上げられる。当然、日ごろから作業員らに周知徹底し、そのリスクを理解したうえで働いてもらう必要がある。
 この日の会合で、作業員への周知状況の質問が出たが、事務局は「(新基準を満たせば)七日間の被ばく線量が一〇〇ミリシーベルト以下に収まることを確認した。教育については今後の審査でみていく」と答えるにとどまった。

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