高浜1、2号機新基準適合 老朽原発40年超で初 大規模改修が必要 規制委

 原子力規制委員会は二十四日、老朽化した関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)について、原子炉建屋に放射線を遮るドームを設置したり、ケーブルの火災対策を強化したりすれば、原発の新しい規制基準に適合するとの審査書案を了承した。運転開始から四十年超の老朽原発が新規制基準に適合するとの判断は初めて。ただ改修工事は大規模で、再稼働できる状態になるまで三年以上かかる見通しだ。

 規制委は今月二十五日から三月二十五日まで意見公募をした上で、正式な判断を決める。1、2号機は七月七日に運転満了となり、この日までに、設備の具体的な工事計画の認可を得るほか、老朽化対策の審査に通過する必要がある。できないと廃炉が決まる。
 現状は、格納容器上部の遮へい性能が不足し、ケーブルの被覆も燃えにくい素材でできていないなどの安全上の弱点がある。建屋上にドームを造るほか、ケーブルを防火シートで包むなどの対策が必要になる。
 さらに、想定する地震動を引き上げたことにより、現在の2号機の海水管では耐えられないとされ、深く強固な岩盤にトンネルを掘り直す必要に迫られた。
 関電はこれらの工事が終わるのは、二〇一九年十月ごろとみている。事故時に1~4号機の計二百人近い収束要員を安全に収容するための対策拠点を新設する必要があるが、完成時期の見通しは立っていない。
 原発の運転期間は、原子炉等規制法で原則四十年に制限されているが、規制委が認めれば一回に限り最大二十年間の運転延長ができる。延長のためには、新基準を満たすほか、中性子の影響で原子炉がもろくなっていないか、建屋は健全かなどの審査にも通る必要がある。関電による特別点検では、特に問題なかったとされるが、規制委で別途審査が続けられている。
 この日の規制委定例会合では、委員から「事故時、収束要員の被ばく線量限度を引き上げる状況も考えられるが、教育などは十分しているのか」といった質問も出たが、審査書案への異論は出ず、説明後の議論は十五分ほどで終わった。
 運転開始から四十年前後の老朽原発では、関電美浜1、2号機と日本原子力発電敦賀1号機(ともに福井県)、中国電力島根1号機(島根県)、九州電力玄海1号機(佐賀県)の五基が昨年四月に廃炉になった。関電だけが高浜1、2号機と美浜3号機の運転延長を申請している。

高浜原発

(解説)「例外中の例外」約束ほご

 原子力規制委員会が、今年七月に四十年間の運転期間が満了となる関西電力高浜原発1、2号機の運転延長を認める方向で本格的に動きだした。今後、この対応を見て、老朽化した原発の運転延長を狙う電力会社が相次ぐ可能性がある。
 東京電力福島第一原発1~4号機は事故発生当時、いずれも三十年超で、原子炉の設計も古かった。配管や建屋も老朽化し、長期間、中性子にさらされると原子炉本体がもろくなる。こうした老朽原発を放置してはならないと、米国の制度も参考に二〇一二年、原子炉等規制法が改正された。運転期間を四十年に制限することになった。
 改正法の中で、最大二十年間の延長を認める例外規定も当初から設けられたが、あくまで「例外中の例外」が政府の約束だった。しかし、規制委が一昨年、「運転期間延長認可制度」と名付けたことで、「例外」の色彩は薄まった。
 確かに、新規制基準により関電美浜原発1、2号機(福井県)など、四十年超の五基が廃炉となった。ただし、出力は最大五十万キロワット台と小さく、多額の改修費に見合わないと、コスト面からの廃炉決定だった。
 日本の原発は三十年前後のものが多く、遠からず廃炉か否か判断を迫られることになるが、多くは八十万キロワット超。高浜1、2号機はいずれも八十二万六千キロワットだ。コストに見合うとなれば延長申請が続く可能性が高い。安易に「例外」を認めては、四十年制限の大原則は骨抜きになってしまう。(山川剛史)

関連記事