本紙は11月から12月にかけ、東京電力福島第一原発1~4号機が立地する福島県大熊町の放射線量調査を実施した。3年前の調査と比べると、全体的に線量は下がっていたが、いまだ原発事故の影響は色濃く残っていた。
昨年4月に避難指示が解除され、町役場も移転した大川原地区は新規の造成地が多いこともあり、事故前の水準(毎時0.05マイクロシーベルト)より若干高い程度の地点が多かった。
しかし、居住地のほとんどは、事故後約10年の現在も帰還困難区域のまま。各所で農地の表土はぎ取りや家屋解体が盛んに実施され、一定の効果は出ているものの、線量が急に上がる地点も点在していた。
JR常磐線大野駅の北側や、国道6号の東(海)側に広がる除染で出た汚染土を処理・貯蔵する中間貯蔵施設のエリアでは、政府の長期目標の約10倍に相当する毎時2マイクロシーベルトを超える地点が当たり前のように広がっていた。(山川剛史)