ふくしまの10年 地図に残してはいけない仕事② 降ってわいた長期出張

小沢さんは長野市から福島市まで新幹線で通い続けた=福島市で

 熊本県や長野県の国立公園の環境保護などの業務にあたってきた小沢晴司さん(59)は2012年8月、福島県への転勤を命じられた。当時の役職は長野自然環境事務所長。今度は、東京電力福島第一原発事故により汚染された地域で除染を進めるリーダーとなれとの任務だった。
 「お盆のころだったと思います。本省から突然、福島に行ってくれと。それも、辞令を伴わない長期出張という形でやってくれと。長野市から福島市に新幹線で通えということです。『掛け持ちは難しいですよね』と言うと、人事担当者からは『いいえ、これは決定事項です』と言われました」
 福島での業務は、除染推進チーム次長として住民の理解を得て除染を進めるほか、視察に来る大臣への説明など。未経験の業務だった。
 一方、長野の事務所長として、北アルプスへの調査や新潟県庁幹部との会合もあり、毎週、金曜日に業務を集中させる必要があった。
 月曜日から木曜日は福島で勤務し、木曜に長野市の宿舎に帰るという特異な形で勤務が始まった。新幹線の移動距離は、大宮駅経由で片道435㌔。深夜帰宅する途中、宿舎近くにあった善光寺にお参りし、「今週も無事終わりました」と手を合わせた。こうした生活が翌年6月末まで続いた。

ご意見・ご感想は

メールで、fukushima10@tokyo-np.co.jp へお寄せください。

関連記事