ふくしまの10年 イチエフあの時 事故発生当初編 ⑮(最終回)仮設の限界すぐに露呈

仮設の電源盤を準備する作業員(東電提供)

 一刻も早く原子炉の暴走を止め、湯気の上がる使用済み核燃料プールの冷却を再開させる―。それが東京電力福島第一原発(イチエフ)の現場の最優先事項だった。
 1~4号機の建屋内や周辺には、応急的な処置をするため大量の電気設備やポンプ、ホース、ケーブルが運び込まれた。床には汚染水を移送するホースが足の踏み場もないほど置かれ、建屋脇のトラックの荷台に載せられた仮設の分電盤からは、太いケーブルが何本も各所へ伸びていた。場所によっては、電源ケーブルとホースが混在していた。
 ベテラン作業員のハッピーさん(通称)は、仮設の設備に早くから懸念を抱いていた。
 「行き当たりばったりの突貫工事の仮設で、タンクも配管設備も『一年もてばいい』と言われて、設置を急がされた。ほとんどがメンテナンスも考えられていない。このままだと、近いうちに仮設の配管やタンクから必ず水漏れが起きると予測していた」
 大震災に端を発した原発事故で大半の機器が使い物にならなくなった。それらを短期間で復活させただけに仕方ない面はある。だが「もっと早く長く使えるものに換えるべきだった」とハッピーさん。その言葉通り、仮設の限界は事故発生の年から見え始め、現場はトラブル対応に追われることになる。 =おわり (片山夏子、山川剛史が担当しました)

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