ふくしまの10年 イチエフあの時 事故発生当初編 ⑫愛称で呼ばれた特殊車両

放射能を含む粉じんが舞わないよう薬剤を散布する作業車。「かたつむり」と呼ばれた(東電提供)

 東京電力福島第一原発(イチエフ)事故の発生当初、さまざまな特殊車両が事故収束作業の最前線で活躍した。その多くは、作業員から動物の愛称で呼ばれていた。
 代表的なのが、原子炉建屋の最上階にあり、冷却機能を失った使用済み核燃料プールへの注水に使ったコンクリート圧送車。折り畳んだアームを伸ばすと優に50メートルを超え、楽々とプールに直接水を落とせた。
 その実力に、作業員は「キリン」と呼び始めた。次々と投入される圧送車に「大キリン」「ゾウさん」「シマウマ」「マンモス」の名前が付けられた。「ゾウさん1号」は現在も万が一の事態に備えて整備が続けられ、敷地内で待機している。
 このほか、建屋やのり面に付着した放射性物質が飛び散らないよう、粘着性のある緑色の薬剤を放水銃からまいた重機は「かたつむり」と呼ばれた。小型の米国製ブルドーザーは汚染された重いがれきの撤去などに活躍し、「ボブキャット」と呼ばれた。
 原子炉格納容器内の調査で使うロボットにも、その姿から「サソリ」などの愛称がつけられた。長年原発で働く作業員は「他にも太郎とか小太郎とかね。次々壊れるから、名前をつけるのも大変」と笑う。厳しい環境下でも、現場には冗談や笑い声が飛び交う。「そりゃ過酷な作業もあるけど、みんな明るいよ」

ご意見・ご感想は

メールで、fukushima10@tokyo-np.co.jp へお寄せください。

関連記事