脱炭素へ 日本に国際基準を 平田仁子・気候ネットワーク理事<石炭火力から問う>

日本は電源の3割を石炭火力に頼るが、二酸化炭素を大量に排出するため、地球温暖化対策のため大幅な削減が避けられない。政府は7月、非効率な石炭火力発電所を段階的に休廃止する方針を示した。環境保護団体・気候ネットワークの平田仁子理事は、政府方針を「脱炭素社会に向けた微調整」と批判する。 (福岡範行)

―これまでの活動は。

2013年ごろから、各地の石炭火力発電所の建設中止に力を注いできた。東京電力福島第一原発事故後のいくつかの政策で、石炭火力の建設が増える流れができていた。電気のコストが上がる中、国は安い電源開発を促すため火力発電所に入札を導入した。当時、安い火力といえば石炭。「政府は石炭をしたいんだ」というシグナルになった。

―政府は7月、旧型で非効率な石炭火力発電所の休廃止方針などを示した。

脱炭素に向かう世界の流れに抗えないという状況が日本でも生まれてきたのかなと感じる。石炭を進めるかどうかの是非ではなく、時間軸や程度の議論になったのは大事な一歩だ。ただ、非効率を残してでも新規建設を止めないと、石炭火力の寿命を長くしてしまい、国際的に求められている「30年には石炭火力ゼロ」には合わない。パリ協定の目標と照らしてどうなのかという国際的な評価基準で日本の政策も見ないといけない。

―日本が脱石炭の政策で遅れているのはなぜか。

世界ではパリ協定が採択された15年には脱石炭の風が吹いていた。しかし、日本は高度経済成長でできた政治経済システムが強固になりすぎて、過去の経緯の上でしか物を考えられず、変化を起こすのが難しい構造的な課題があるのではないか。今回もそうだが、微調整はしても、社会を脱炭素に大きく変えることには対応力がないと感じている。

ひらた・きみこ 1970年生まれ。環境保護団体「気候ネットワーク」理事。脱原発と温暖化対策の両立を目指して、気候変動に関する国際交渉や国内外の温暖化に関する政策の分析・提言などを担う。千葉商科大サイエンスアカデミー特別客員准教授。

パリ協定とは?

京都議定書に代わる地球温暖化対策の国際協定で、2020年1月から本格始動。今世紀後半に世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにし、産業革命前からの世界の平均気温の上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目標とした。発展途上国にも対策を義務付けた枠組みだが、主要排出国の米国は19年11月、国連に協定離脱を通告した。19年12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で実施ルールが議論されたが、一部の合意が先送りに。20年11月に英国で予定されたCOP26は新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期された。

関連記事