モデル事業 受注のゼネコン 除染本契約 競争なく 落札率も高止まり

 東京電力福島第一原発事故に伴う国直轄の除染事業で、先行の除染モデル事業を受注したゼネコンが、後にほぼ競争がないまま本格的な除染事業を受注する契約が相次いでいる。本紙の調査では、既に発注された八市町村分の事業のうち六市町村がこうしたケースだった。予定価格に対する落札額の割合(落札率)も95%以上と高止まりしている。(大野孝志)

「内閣府→原子力機構→ゼネコン各社」へと委託

 国が主体となって除染を進める地域で、本格的な除染事業の契約は八市町村分で終わり、住民の同意取得が遅れた富岡町では八月に入札が予定されている。放射線量が高い浪江、双葉両町は検討中だ。
 除染の効果を確かめるためのモデル事業は、内閣府が日本原子力研究開発機構に委託、原研が随意契約でゼネコン各社に再委託した。本紙は、このモデル事業や、環境省が発注した本格的な除染事業について八市町村での入札結果を調べた。
 その結果、南相馬市、川俣町、飯舘村、大熊町では、モデル事業を受注した大成建設、清水建設と大林組の共同企業体(JV)が本格除染も受注。いずれも大きな仕事なのに、他に入札者はいなかった。大成建設は常磐自動車道でも、同様に再び受注していた。
 田村市と川内村でも、それぞれ鹿島と大林組が再受注し、入札したのは二社だった。
 モデル事業を手掛けたかどうかは、本格除染を受注するための条件ではない。他社より多少現場を知っている可能性があるだけなのに、不自然な結果になっている。
 このほか、葛尾村の除染は五百億円超の仕事だが、入札者は一社だけだった。
 環境省は、実質的にほぼ競争がないまま受注業者を選んでも、法令上は問題がなく、入札は適正だったとしている。ただし落札率はいずれも95~99%と高止まりの状態だった。
 大成、鹿島、大林の三社は取材に「適正な手続きで契約した」とだけ答えた。
除染をめぐっては、国の除染区域の外側で自治体が発注した事業でも、発注先が大手ゼネコンに集中し、ゼネコンへの丸投げに近い問題が指摘されてきた。

談合の指摘も当然

 行政機関の手続きに詳しい後藤・安田記念東京都市研究所の新藤宗幸常務理事の話
 モデル事業から、一社しか入札に参加しにくい仕組みを巧妙につくっている。談合を疑われても仕方ない。国は除染すれば故郷に帰れると住民に告げ、一方でゼネコンに膨大な金が降り注ぐ一大商機を与えた。

(メモ)国の除染事業

 福島第一原発事故による汚染地域のうち、国は第一原発から20キロ圏内と放射線量が比較的高い地域を「除染特別地域」として直轄で除染を進める。他の地域では市町村が主体となる。放射線量を毎時0・23マイクロシーベルトより下げるのが目標だが、地元では達成を疑問視する声もある。国と市町村合わせて計1兆円を超える予算が投入され、最終的には5兆円を超えるとの試算もある。

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