新潟にも「茨城方式」を 柏崎刈羽原発の30キロ圏の議員が研究会を設立

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に当たり、事前同意を得る必要がある自治体について、立地する柏崎市と刈羽村だけでなく30キロ圏の周辺市町にも広げることを目指す地元議員らの研究会が8月30日、設立された。 (宮尾幹成)
 日本原子力発電(原電)東海第二原発(茨城県)では、周辺自治体の事前同意を必要とする新たな安全協定が全国に先駆けて実現。研究会は「茨城方式」を参考に、周辺市町の首長らに対し同様の協定を県、東電と結ぶよう働きかけていく方針だ。
 柏崎刈羽原発は6、7号機が原子力規制委員会の審査をパスし、東電は再稼働を目指す。現在、新潟県が再稼働の是非を判断するため避難計画などを検証している。

原発再稼働の事前同意自治体の拡大を求める研究会の設立総会に参加した新潟県内の地方議員ら=8月30日、同県見附市で

研究会会長に自民党市議が就任

 研究会には30日時点で、柏崎刈羽原発から5~30キロ圏のUPZ(緊急時防護措置準備区域)に含まれる柏崎、長岡、燕、見附、小千谷、十日町、上越各市と出雲崎町の超党派の議員43人が参加。UPZ外の地方議員ら8人もオブザーバーとして加わった。
 見附市で開かれた設立総会で、会長に就いた自民党の関三郎見附市議は「非常にハードルは高いと思うが、住民が安心できる形にするのが30キロ圏内の議員の責務だという気持ちで取り組んでいく」と語った。来年5月末までに協定案の作成を目指すとともに、住民の意向調査や住民説明会も実施するという。
 茨城県では、東海第二原発が立地する東海村の村上達也村長(当時)の呼び掛けで、水戸市など周辺6市村の首長が原電との交渉を開始。2018年に「実質的に事前了解を得る仕組みとする」との文言を盛り込んだ新安全協定を結んだ。

 原発再稼働の際に事前同意が必要な自治体の拡大を目指す動きは、他の立地地域でも広がっている。
 中部電力浜岡原発(静岡県)では、本紙が昨年実施した県内首長のアンケートで、35市町のうち15市町が、再稼働に当たり立地自治体以外の同意が必要と回答。住民団体も、30キロ圏に含まれる11市町の事前同意権を盛り込んだ協定の締結を求めている。

前東海村長「周辺自治体が当事者に」 新協定の意義強調

 この日の総会では、東海第二原発の協定に先鞭(せんべん)をつけた村上達也・前東海村長が講演し「水戸市なども原発行政の当事者になった意味は大きい」と語った。
 村上氏は、2012年に水戸市を含む5首長に働き掛け、事前同意の対象拡大を目指す懇談会を発足させた。村上氏は13年に村長を退いたが、18年に「実質的に事前了解を得る仕組みとする」との文言を盛り込んだ原電との新たな安全協定締結が実現した。
 村上氏は「事前同意が立地自治体だけで済んだのは、原発は絶対安全と言っていた時代のこと。福島第一原発事故の後ではもうそうはいかない」と、新協定が必要と考えた動機を説明。新協定によって「再稼働の『拒否権』を隣接、隣隣接自治体の住民も手にした。県と立地自治体が独占していた原子力行政にくさびを打ち込めた」と、その意義を強調した。
 1999年の核燃料加工工場ジェー・シー・オー(JCO)臨界事故の際、村独自の判断で住民を避難させた経験を踏まえ、「住民の命を守るのが自治体の役割。その意識さえあれば安全協定を変えることができる」と指摘した。

研究会の活動について説明する事務局長の関貴志・長岡市議(左端)。左から3人目は会長の関三郎・見附市議=いずれも新潟県見附市で

住民の意向どうくみ取る?

 一方で、新協定で事前同意権を得た6市村が、実際に再稼働の是非を判断するには課題が山積している。
 再稼働に関する住民の意向をくみ取る仕組みは、6市村ともまだはっきりしていない。
 水戸市の高橋靖市長は、万単位の規模で市民アンケートを実施することを明言しているものの、具体的な手法や時期は未定だ。他の自治体も、議会の意見を踏まえて総合的に判断するなどの方針を示すにとどまっている。
 また、住民や自治体が再稼働の是非を判断する上で重要になる広域避難計画の策定も進んでいない。避難計画は、30キロ圏内の自治体に義務付けられているが、6市村で策定済みなのは常陸太田市だけ。この計画も、他の自然災害などとの複合災害を想定していないなど不十分な内容で、見直しが不可欠となっている。

東海第二原発の周辺6市村が日本原子力発電と結んだ新安全協定について語る村上達也・前東海村長

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