ふくしまの10年 新天地にそよぐ風 ⑩(最終回)現地に根付く若者たち

西崎芽衣さんの結婚式に集まった仲間。右から西崎さん、鈴木みなみさん、森亮太さん、下段が森雄一朗さん

 それぞれの形で福島県に根を下ろした「そよ風届け隊」の4人。彼らの共通の恩師といえるのが、立命館大学内の教育機関、共通教育推進機構の山口洋典教授(45)だ。
 立命館の支援窓口「災害復興支援室」の立ち上げにも携わった山口教授は、「減災×学び」という授業を通して受講生を被災現場に送り、現地の人との交わりの中から学ばせるというプログラムを実践してきた。4人の活動は、延長線上にある。
 研究のため阪神大震災(1995年)や新潟県中越地震(2004年)などの被災地も見てきた山口教授が学生に説いたのは、現地の人と名前で呼び合うほどの深く関係を築くこと。その関係を後輩に引き継ぐほど長く維持することなどの大切さだった。
 「4人はそのまま実行してくれている。それも特にきまじめにということでなく、楽しげにやっているのが、いいところでしょう」
 今、双葉郡には立命館大OBにとどまらず、50人近くの若者が住み着いて、復興に力を尽くしている。
 この点について山口教授は「単に放浪の旅の末に落ち着いたとかいうのではなく、皆がきちんと職を得て自立している。これは新しい動きといえる」と分析する。背景には、地域おこし協力隊など被災地で雇用をつくる制度が整備された側面があるという。
 過去の災害で蓄積された反省やノウハウが今、東日本大震災と原発事故の被災地で芽吹き始めたということだ。
 さて、これから山積みの難問を若者たちは、どう切り崩していくだろうか。
 エールを送る。「そよ風届け隊」、前へ進め。 (坂本充孝が担当しました)

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