ふくしまの10年 新天地にそよぐ風 ①学生ボランティアが原点 (全10回)

 長期連載「ふくしまの10年」の新シリーズ「新天地にそよぐ風」を始めます。東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故後、被災地には大勢の学生ボランティアが支援に入りました。その中には卒業後も福島県内に残り、根を下ろした若者たちがいます。立命館大(京都市)の学生で結成された「そよ風届け隊」の4人も地域の復興のために今も汗を流しています。彼らは白紙の新天地にどんな絵を描くつもりなのでしょうか。 (坂本充孝が担当します)

「福島は忘れられない土地」と話す鈴木みなみさん=富岡町で

 富岡町は福島県の浜通りに位置し、南の楢葉町にまたがる形で福島第二原発がある。福島第一の事故後に全町避難となり、2017年4月に大半の地域で避難指示が解除されたが、現在も北東部は帰還困難区域で、住民登録者は約1万2500人いるが、町内に居住しているのは1500弱にとどまっている。
 この町で、鈴木みなみさん(29)は、同町が設立した町づくり会社「とみおかプラス」の職員として働いている。娘のみちるちゃん(3)を単身で育てるシングルマザーでもある。
 「学生で福島に来て以来、就職、結婚、出産、離婚とライフイベントを一通り経験してしまいました。福島は忘れられない土地になりました」と屈託のない笑顔で話した。
 鈴木さんは立命館大の学生を中心に12年9月に結成された被災地支援のボランティア団体「そよ風届け隊」の創設メンバーの一人だ。
 立命館大は東日本大震災を機に学内に災害復興支援室を設置。授業にも被災地のフィールドワークを取り入れ、積極的に学生たちを災害ボランティアに送り出してきた。
鈴木さんも東日本大震災の直後から、宮城県や岩手県の津波被災地へ何度も通った。しかし大学は学生の安全を危ぶみ、原発被災地の福島県に関しては、及び腰だった。
 それでも鈴木さんは、陸の孤島と化していた福島県の実情をみたいと願った。同じ思いを抱いた仲間が森亮太さん(29)、西崎芽衣さん(28)。3人は、自分たちの手でボランティアバスを仕立て、いわき市に通った。これが「そよ風届け隊」のスタートだった。以来、3人は大学卒業後も福島に住み、それぞれの方法で原発事故被災地の復興に力を注ぎ続けている。

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