東京電力福島第一原発事故の発生からほぼ9年半。8月4日、本社ヘリ「あさづる」で原発や周辺の被災地を上空から取材した。現地の状況を、写真を中心に報告する。(山川剛史、隈崎稔樹)
東京・新木場のヘリポートから1時間あまりで上空に差しかかった。
「また施設が増えた」。原発周辺には、除染土などを長期管理する中間貯蔵施設が広がる。東京都中野区や渋谷区より広い約1600㌶が計画地で、約73%の用地が確保された。訪れるたび、県内各地から運ばれた大型土のうの山が増え、分別・貯蔵施設が増えることに驚かされる。
原発に視線を移すと、汚染水を処理して貯蔵するタンクがひしめく様子は相変わらず。だが、高さ120㍍の高さがあった1、2号機の排気筒は半分に。大穴が開き、みすぼらしい仮屋根が置かれていた3号機のタービン建屋はがれきがほぼなくなり、真新しい白いカバーがかけられていた。
炎天下、作業員が動き回り、水漏れリスクの高いボルト締め型タンクを解体、溶接型に置き換える作業に追われていた。
1、2号機では使用済み核燃料の取り出しに向けた準備が進む。しかし、1号機原子炉建屋には大量のがれきが残り、「まだまだ事故収束作業はこれからだ」と実感した。