東電会議映像3回目公開 汚染水 甘い認識 建屋地下 作業員被ばく

 東京電力は二十三日、福島第一原発事故直後から記録している社内テレビ会議映像のうち、未公開だった計約三百十二時間分を報道機関やフリー記者に公開した。公開対象は二〇一一年の三月二十三~三十日と四月六~十二日の映像。これまで公開された約四百八十六時間分と合わせ三回目の公開で、事故から一カ月の会議映像がほぼ公開されたことになる。

 今回の映像には、福島第一原発3号機のタービン建屋地下で作業員三人が被ばくし、うち二人が足に大量被ばくした際の社内のやりとりなどを記録。また東日本大震災から一カ月となる一一年四月十一日午後二時四十六分には、本店などで黙とうをささげた。
 東電は役員以外の社員や作業員について個人が特定されないよう映像にぼかしや音声処理を施している。映像は事故対応を検証する上で重要な材料で、日本新聞協会などは修整をせずに全面公開するよう求めていた。東電は二回の公開当日に、報道機関向けに編集、加工をした映像素材を提供してきたが、今回は提供を見送った。

放水の行方のみ議論 高濃度 現場は知らず

 東京電力福島第一原発3号機タービン建屋地下で、作業員らが高濃度汚染水で高線量被ばくをするまで、炉心の冷却水が汚染水として建屋に漏れ出ている可能性を、東電が十分に認識していなかったことが、公開されたテレビ会議の映像から分かった。もう少し早い段階から、汚染水の存在を注意喚起できていれば、被ばくを避けられた可能性がある。
 これまでの会議のやりとりを分析すると使用済み核燃料プールの冷却水がなくなる危機をひとまず回避した二〇一一年三月二十日、冷却水の補充のため大量に放水した水が、降り積もった放射性物質を洗い流して海に流れ出すことを懸念する議論がされている。
 翌二十一日には、1~4号機の放水口南側の海水で、高濃度のヨウ素131を検出。この時点でも、放水された水の行方を念頭に議論していた。
 しかし二十四日昼すぎ、3号機タービン建屋で電源ケーブルの敷設作業をしていた関電工の社員や下請け企業の作業員らが、地下の高濃度汚染水に足をつけるなどして、高い被ばくをしたことが報告された。
 今回公開されたテレビ会議映像では、福島第一の保安班が「作業員の方が三名、一七〇ミリ前後の被ばくをしていることが今、わかりました」「現場がですね、環境が急変している可能性があります」と報告。これを受け、別の職員が「高線量になっている可能性がありますので一時作業を中断してください」などと現場への周知徹底を求める緊迫したやりとりが記録されていた。
 地下で作業をした三人が一八〇~一七三ミリシーベルトの外部被ばく。短靴の作業員もおり、汚染水がある可能性が現場で認識されていなかったことを裏付けた。
 二十三日には、東電社員が現場の放射線量は低く「ほとんど水はなかった」と報告したが、二十四日になって建屋地下に深さ約一五センチの水が広がっていた。発生間もない段階で、東電が原子炉や配管の一部が損傷していると認識していたことは、これまでに公開されたテレビ会議の記録でも確認されている。
 関電工の広報担当者は「前日には線量が低く、安全であるという認識だった。水が出ていて危ないという認識は当時はなかった」とコメント。東電の担当者は「前日の結果の値が低かったので問題はないと思っていた」と話した。

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