ふくしまの10年 雪が落とした災い ⑤ありのまま 村長に報告

菅野典雄村長(左)に、村内の放射線量調査の結果を報告する今中哲二さん(右から2人目)(豊田直巳さん提供)

 2011年3月29日午後4時すぎ、飯舘村一円の放射線量の測定を終えた京大原子炉実験所(現・複合原子力科学研究所)の今中哲二助教(69)=当時=らは、村役場近くの施設に向かった。菅野典雄村長に調査結果を報告するためだ。
 「村長、これは大変な汚染状況です。15日夜の雨や雪と一緒に放射性物質が地上に沈着したことが、このデータから言えます」
 測定値がびっしり書き込まれた地図を広げ、今中さんは汚染は村全体に広がり、とりわけ南部の汚染度が高いことを説明。「(旧ソ連の)チェルノブイリ原発事故での地域区分なら、全住民が移住するレベルを何倍も超える汚染だと確信を持って言えます」とも伝えた。
 聞き入っていた村長は「人為的に(放射線量を)下げていく方法とか、こういう点に注意すれば下げられるというのを教えていただきたい。わらをもつかむ思いだ」。村は農林畜産業が主な産業。生きている牛などを残し、住民がこの地を離れるのは容易ではない。何とか村に残る道にこだわった。
 今中さんは「起きていることを測定して記録、歴史に残すのが私の仕事」とし、避難や除染など行政が決める分野への言及は拒んだ。
 村に残る方策を得たい村長はやや不満げな表情を見せたものの、「大変な状況だというのは分かりました。やれることをやっていきたい」。やりとりは終わった。

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