ふくしまの10年 雪が落とした災い ①放射能 まさかここには

 長期連載「ふくしまの10年」の新シリーズ「雪が落とした災い」を始めます。大半の地域が福島第一原発から30キロ以上離れた福島県飯舘村は、雨や雪によって放射性物質が地表に落とされ、深刻な汚染に見舞われました。全村避難となるまでを振り返ります。=山川剛史が担当します

地震で傷んだ農業研修所の屋根を補修する職人たち=2011年3月14日(伊藤延由さん提供)

 2011年の東日本大震災では、岩だらけで地盤がしっかりしているとされる福島県飯舘村でも震度6弱の揺れに襲われた。
 村内の道約70カ所で路肩の陥没や土砂崩れが起きたほか、民家ばかりか役場の屋根も損傷した。電気、水道、電話も一時途絶えた。
 村南部の小宮地区にあるIT企業の農業研修所「いいたてふぁーむ」では、200キロもあるまきストーブがずれて煙突が外れ、屋根瓦が何十枚もずれた。同社を退職後、研修所の管理人となった伊藤延由(のぶよし)さん(76)は慌ててホームセンターに行き、ブルーシートと土のうを調達。高所作業は苦手だったが、シートを広げ、両端に土のうを結び付けて重しとする応急修理をした。
 震災3日目の3月13日夕には電気が復旧したものの、余震は続く。周辺では崖崩れも起きた。
 風が強い地区。やはり屋根のシートが飛ばされるのではと心配になった。研修所のリフォームを担当した職人に来てもらって瓦のずれを直し、棟の部分はシートをかぶせて土のうを40個置いてもらった。「これでひと安心」と胸をなで下ろした。
 東京電力福島第一原発で事故が起きたことは知ってはいたが、原発から研修所までは直線距離で32キロ。
 「これだけ離れているんだから、まさか(放射能は)飛んでこないだろう」
 ニュースを聞いても、伊藤さんは「どこか人ごとのように感じていた」という。

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