ふくしまの10年 無人の街を撮り続けて ⑥原発襲った津波の威力

福島第一原発近くの海岸線。津波で崖が大きく削り取られていた。奥に原発の港湾施設が見える=大熊町で(飛田さん提供)

 東京電力福島第一原発の敷地南端の近くに「水産種苗研究所・栽培漁業センター」という県の施設があり、ヒラメなどの稚魚を育てていた。
 円い大屋根がかかっていたこの施設は、海近くで東日本大震災の津波で破壊された。帰還困難区域内にあり、周辺一帯には汚染土を保管する中間貯蔵施設が点在する。
 写真家の飛田晋秀(ひだ・しんしゅう)さん(73)が原発事故後、初めてこの場所に入ったのは2012年3月18日のことだ。線量計を2台携帯し、知り合いの元住民の一時帰宅に同行した。
 第一原発が近づくに従い線量計の値はさらに上がる。原発の敷地境界線に近づくと線量計は2台とも振り切れた。カメラを取り出し、海岸線の崖を、原発のある北方向に向かって撮影した。原発の港湾施設も見えた。斜面をよく見ると、津波は広範囲に崖を削り、相当高い場所まで到達したことが分かったという。
 「あの時は、放射線量が高く怖くてしょうがなかった。しかし、どうしても原発の海側の様子を見てみたかった。あの崖は津波の威力を物語っていました」
 飛田さんはこの後、スクリーニング場で検査受け、手書きで「46」と記入された書面を受け取った。たった1時間の立ち入りで、事故前の1カ月半分に相当する46マイクロシーベルトを被ばくした。

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