ふくしまの10年 見えない放射能を描く ④8%しかいない静けさ

人は少ししか帰らない

 JR常磐線浪江駅の南東、双葉町側の踏切近くの2018年5月の情景が描かれている。この地域を含む浪江町の東側は前年の3月末に避難指示が解除。それから1年あまりたったころだ。
 家や商店は数多く建っているのに住民の姿が見えない。イラストレーターの鈴木邦弘さん(46)は寂しい街の雰囲気を表現した。
 地元で知られたすし店や豆腐店、民家が描かれているが、現在では多くの建物が既に取り壊されて更地になっている。新しい建物が建つケースもあるが少ない。鈴木さんは、訪れるたび風景が変わっていくのを切なく感じている。
 「別に街の姿を絵に残しておくつもりはなかった。結果的に、かつてあった風景を残すことになり、避難中の住民に感謝されることもある」
 大手スーパーが出店し、ガソリンスタンドやコンビニもある。居酒屋や焼き肉店、ラーメン店、喫茶店などが数軒開業するなどにぎわいの〝芽吹き〟は確かにある。
 だがタイトル通り、浪江町の住民帰還はなかなか進んでいない。ことし4月末現在、住民登録者数は1万7000人弱だが、町内に住んでいる人は8%の1400人弱。鈴木さんは「平日は作業員らでにぎわうが、ぼくが出かけることが多い週末はとても静か。スーパー以外で住民と出会うことは少ない」と話す。


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