ふくしまの10年 見えない放射能を描く ②時間がたっても、無人

放射能が降り注いで 町には誰もいなくなった

 2017年、東京電力福島第一原発を双葉町の海岸から見たイラストレーターの鈴木邦弘さん(46)は、その後、JR常磐線双葉駅周辺に向かった。
 倒れそうなお寺、かばんが室内に放置され、時計が2時46分で止まったままの保育園、倒壊したままの家屋、大きく傾いた電柱…。
 2年前にも訪れたことがあり、その時に比べると道路が補修されるなど少しは変化があったものの、宮城、岩手の津波の被災地とは比べものにならないくらい復旧、復興は進んでいないと実感した。
 原発事故の発生から7年近くなるのに、無人の街。許可なく立ち入りできない帰還困難区域なので当然といえば当然だが、これが原子力災害なのだと認識し直した。
 ことし3月、常磐線全面復旧に伴い、駅周辺は立ち入りが可能になった。鈴木さんは常磐線で再び双葉町を訪問した。率直な感想は「東京五輪の聖火リレーのため、無理やり常磐線を全通、立ち入り制限も緩和させたな」だった。
 駅内はベンチも待合室も未完成だった。街では家の中が丸見えの家が多い。放射線量は道路上は低めだが、私有地は毎時4マイクロシーベルト(都内の100倍程度)を超えるような場所にも出入りできてしまう。「こんな状態なのに、自由に立ち入りできていいのだろうか」と思った。

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