ふくしまの10年 見えない放射能を描く ①感じた空気を伝えよう 

 長期連載「ふくしまの10年」の新シリーズ「見えない放射能を描く」を始めます。イラストレーターの鈴木邦弘さん(46)は、明るい色使いと犬のキャラ入りで福島県浜通りを描きます。どんな思いで現地を歩き、描き続けるのかを語ってもらいます。

あやまち

 イラストレーターの鈴木邦弘さん(46)は2015年3月に初めて東京電力福島第一原発がある福島県の浜通りを訪れた。事故から4年。報道が激減する中、自分の目で確かめようと思ったからだ。
 津波の痕跡が残り、人の姿がない。そんな光景に衝撃を受け、「見たもの、感じた空気を自分なりの表現で伝えなければ」と決心。避難指示が出た地域を中心に描き続け、各地で個展も開いてきた。
 この作品は17年11月、知り合いの元双葉町民が一時帰宅するのに同行し、海岸から原発を見た情景だ。秋空が広がり、海鳥が飛んでいた。「きれいなところだなあ」と思った。持参した線量計の値は毎時0.4マイクロシーベルト。事故前の10倍ほどの値だが、原発の間近にしては意外なほど低い。
 しかし、視線を南に向けると、「八」の字に突き出した原発の防潮堤は、東日本大震災の津波で破壊されたまま。3号機原子炉建屋上には、ロールケーキ状の使用済み核燃料取り出し用のカバーが見えた。旧ソ連チェルノブイリ原発の建屋を覆う巨大シェルター(いわゆる第2石棺)を思い起こした。
 「自然の力に勝てるのか。原発は見えない放射能をまき散らした。人間は罪深い」。そう感じた鈴木さんは、「あやまち」をイメージしてこのイラストを描いた。(山川剛史が担当します)

双葉町内を取材する鈴木さん

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