ふくしまの10年 行ける所までとにかく行こう⑫ 入れなくなる前に

原発20キロ圏への立ち入り禁止を前に、馬事公苑横にも「立ち入り禁止」の看板が立った=南相馬市原町区で(豊田直巳さん提供)

 政府が2011年4月22日から、東京電力福島第一原発の20キロ圏を「警戒区域」に指定し、立ち入り禁止にする―。飯舘村や浪江町の津島地区の取材をしていた写真家の豊田直巳さん(63)は、その情報を知り、「入れなくなる前に、もう一度取材しておこう」と決めた。
 18日朝、南相馬市から南下し、20キロ圏内を目指した。馬事公苑(同市原町区)近くの県道上には、鉄パイプで検問所が設けられ福島県名で「立入禁止」の看板が立っていた。検問していたのは、応援に来た警視庁の警察官たち。パトカーのほか機動隊らしきバスも止まっていた。
 日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)の記者証を見せた上で、防護服、ゴーグル、マスクを着用し、線量計も装備して被ばく低減に配慮していることを説明すると、「気を付けてくださいね」と通してくれた。
 この時点では、避難指示は出ていたものの立ち入りまでは禁止されていなかった。検問所の向こうからは何台もの福島ナンバーの乗用車が出てきたが、ごくありふれたマスクをしていた程度。一般市民も出入りしていた様子という。
 数キロ行くと、道路を乳牛の群れがふさいでいた。道路脇の草をはんでいるウシもいる。車を止めて外に出ると、白い防護服姿の豊田さんを見たウシたちは円陣を組んで威嚇。近くの畑ではブタの群れもいて、食べ物が少ないためか、ウシの群れとにらみ合う姿もあったという。
 警戒区域となれば、家畜への餌やりは事実上できなくなる。やむなく畜産農家が放ったものとみられる。その様子に豊田さんは「飼い主がいないまま生き抜いたウシやブタは、既に野生化が進んでいるように思えた」と話した。

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