<東海第二原発 再考再稼働>原電前で金曜行動・花山知宏さん「母親世代を代表して廃炉を訴える」

 2012年7月から毎週金曜、東海第二原発を運転する日本原子力発電(原電)の茨城事務所(水戸市)前で廃炉を訴えている。活動のきっかけは、長男の出産直後に、東日本大震災を経験したからだ。
 11年3月4日、笠間市の病院で、第3子になる長男を出産した。以前から母乳育児にもう1度挑戦したいと強く思い、準備を進めて始めたが、一週間後の11日に震災が起きた。
 東京電力福島第一原発事故があり、子どもに影響がないか不安だった。つくば市の母親の母乳からセシウムが検出されたと聞いて、つくばよりも福島に近い笠間にいる自分の母乳からも間違いなく検出されるのではと思い、母乳育児を続けるか、すごく悩んだ。
 出産直後に、放射能汚染に脅かされたことが、すごくショックだった。同じようなことは、2度と起こさせたくないという気持ちから、育児をしながらツイッターなどで、県内で原発に反対する人たちとつながり、12年4月に、笠松運動公園であった3000人超えの集会の実行委に参加した。

花山知宏さん

 そのころ、東京の首相官邸前で金曜行動が始まった。水戸でも「黙っていたら東海第二が再稼働してしまうから反対しよう」と機運が盛り上がり、7月に始まった。初回から参加し5回目くらいから昨夏までの300回以上、司会を務めた。
 今年2月末で363回を数える。当初は、全国でも脱原発の機運が盛り上がっている時で、「そんなに長くかからずに終わるだろう」「百回なんていかない」と楽観視していたが、現実は違った。それだけ、原子力ムラの押し返す力の強さを感じた。
 これでも止められないのかと思う一方で、声を上げてきたからこそ、これまで止めてこられたという思いもある。声を上げなければ、再稼働への動きがより早く進んでいたと思う。
 東海第二は、運転から40年以上がたって、老朽化している。廃炉を決めて、原電は廃炉専門の会社になるべきだ。
 原電は、「安全対策」と称して工事を進めている。工事内容を住民に十分に説明しないで、周辺六市村の首長たちにも「再稼働には直結しない」と説明しているが、再稼働につながらない工事なんてない。住民にきちんと説明しないのもおかしい。首長側も「再稼働につながるのでは」と追及するべきだ。
 金曜行動は現在、新型コロナウイルスで活動休止しているが、感染が拡大している中でも、原電は工事を進めている。声を上げたくても上げられない不安があり、早く再開したい。これからも、母親世代を代表して、東海第二の廃炉を訴えたい。(聞き手・松村真一郎)

<はなやま・ちひろ>1977年、東海村生まれ。水戸市在住で、3人の子どもを育てる母親。市内の法律事務所に勤務している。水戸地裁で続いている東海第二原発の運転差し止めを求める訴訟の原告団にも名を連ねる。訴訟では、証言台に立ち「子どもたちに原発事故の脅威を残したくない」と訴えた。

東海第二原発とは?

 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力は110万キロワットで、電気を東京電力や東北電力に供給していた。東日本大震災時は外部電源を失い、冷温停止まで3日半かかった。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。
 2018年11月に原子力規制委員会が最長20年の運転延長を認めた。再稼働の対策工事は21年3月までかかる見込みで、資金支援のため、東京電力などが約3500億円を拠出する構図も固まった。再稼働には、東海村や水戸市など6市村の同意が必要で、首長がどう判断するかが焦点になる。

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