5回シリーズ「これでいいの?エネルギー政策」  Q2, 原発の電気って安いの?

運転コスト安くても、新たな事故への備えをするとコスト高

原発でつくる電気は安いのに、高い化石燃料を使うから国富が海外に流出するとの話もある。確かに主力の火力発電の最大の弱点は発電コスト。石炭火力は割安(一キロワット時当たり九・五円)だが、政府の試算では、原発は同八・九円ほどという。
 ただ、福島の事故で学んだ通り、何もなければ原発の運転コストは安いかもしれないが、いざ重大事故が起きたときの被害はとてつもなく大きく、放射能汚染も長期に及ぶ。
 試算では、廃炉や損害賠償、除染といった福島での事故対応費用も考慮されているが、その額は五兆八千億円。これに対し、現実の費用は八兆五千億円とすでに政府の予想を上回る。さらに膨らむのは確実だ。
 住民の避難は続き、三基同時の炉心溶融という事態は前例がない。どう収束させるのか道筋はまだ見えない。除染も効果は頭打ちで、戦略の練り直しを迫られるのは必至だ。除染で出た放射性廃棄物の最終処分場の建設費用は別途かかる。
 それでも、本当に原発は安いといえるだろうか?
 政府も国会も大切なことをすっかり忘れてしまっている。
 重大な原発事故が起きたときの責任はだれが負うのか、賠償費用など金銭的な備えがほとんどない現状をどうするのか-。
 国会はこれらをはっきりさせると決議したのに、約束の期限を二年近く過ぎても行動に移さない。政府のエネルギー基本計画案では「賠償制度の見直しは、総合的に検討を進める」としか書いていない。こんな状態で原発再稼働の話だけが進み、もしもまた事故が起きれば、目先の発電コスト論どころではなくなる。

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