5回シリーズ「これでいいの?エネルギー政策」 Q4, 新基準で原発は安全になったの?

対策しても完全防止は無理 心もとない避難対策

 東京電力福島第一原発事故を受け、原発の新しい規制基準ができた。政府は「世界で最も厳しい基準」と強調するが、原子力規制委員会の田中俊一委員長が「基準をベースに、事業者は安全への取り組みを強化してほしい」と話すように、新基準を満たせば安全なのではなく、最低限の「エチケット」にすぎない。
 新基準の名称も、当初は「安全基準」になっていたが、本紙読者の指摘を受けて、規制委は「規制基準」に改めた。
 事故時の対策拠点、フィルター付きベント(排気)設備、最大級の津波にも耐える防潮堤…。確かに新基準は従来より厳しくなった。
 ただし、どんなに対策を講じても、暴走し始めた原発を抑え込むのは非常に難しい。「事故は起きる」を前提にしないと、かつての「安全神話」に逆戻りしてしまう。
 原発そのものの対策は進んだとしても、周辺住民の避難をはじめ防災対策は非常に心もとない。
 福島事故では、地震や津波で交通網が寸断され、各地で大渋滞になった。国の指針では、渋滞を回避するため原発から五キロ圏の住民をまず避難させ、その外の地域の住民は屋内退避した後、放射線量が上がってくれば避難する-ことになったが、われ先に逃げる事態が予想される。
 特に日本原子力発電東海第二原発(茨城県)や中部電力浜岡原発(静岡県)では周辺人口が非常に多く、マイカーなどが三十キロ圏外に脱出するのに最短でも二日以上かかるとの民間団体の試算もある。
 だが、政府は地域の防災の備えの状況が、再稼働の条件になるかどうかあいまいにしている。

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