5回シリーズ「これでいいの?エネルギー政策」  Q5, 事故が起きたまま原発推進? 輸出もするのはなぜ?

事故対策のノウハウはなし

 エネルギー基本計画案は「震災前の戦略を白紙から見直す」「福島の再生・復興は、エネルギー政策の再構築の出発点」とうたいながらも、結局は原発も核燃料サイクルも推進する旧来の内容になっている。
 原発事故から三年がたっても、十四万人近い福島県民が不自由な避難生活を強いられている。計画案には避難の現状と事故の反省、復興に注力する旨は書かれているものの、なぜ原発推進を続けるのか明快な答えは見つからない。
 政府は原発輸出にも注力し、成長戦略の柱として年間二兆円規模の輸出額を目指すという。
 「原発事故から得られた教訓を、国際社会と共有することが日本の責務」。国会で安倍晋三首相は輸出を進める理由をこう強調した。
 ただ、教訓といっても、原発事故は収束どころか、メルトダウン(炉心溶融)した原子炉内の様子すら分かっていない。商用原発の廃炉経験もない。日本が世界に発信できることといえば、「福島第一の状況は厳しい」ことくらい。廃炉のノウハウなら欧米の方がはるかにある。
 輸出した原発がその国で稼働すれば、使用済み核燃料の問題に突き当たる。しかし、日本で最終処分場の確保は白紙の状態だ。地中深くで半永久的に安全に処分できる技術も確立されていない。
 事故対策、核のごみの処分。これらの技術もセットにした輸出でないと、未解決の問題まで輸出することになる。教訓を世界に広めると言いつつ、新興国への売り込みでもうけるのが「美しい日本」だろうか。(山川剛史、吉田通夫、岸本拓也、宮尾幹成、横山大輔が担当しました)=おわり

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