汚染処理水の放出処分 漁業と林業団体の代表者「反対」 福島で初の聴取会合

 東京電力福島第一原発の汚染水を浄化処理後、放射性物質トリチウムを含む水の処分方法決定に向け政府は4月6日、福島県内の首長や業界団体から意見を聴く初めての会合を福島市で開いた。政府の小委員会が提言した海や大気への放出処分案について、漁業と林業団体の代表者が反対を表明し、複数の首長は「国が責任を持って処分方法を決めるべきだ」とした。出席者からは風評対策を求める意見が相次いだ。 (渡辺聖子)

構内にはタンク約1000基が立ち並ぶ=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で、本社ヘリ「おおづる」から

自治体首長ら「国が責任を」、県町村会長「県外処分も検討を」

 内堀雅雄県知事と市町村長5人、四つの業界団体の計10人が意見を述べた。小委員会の2月の提言に対し、県森林組合連合会の秋元公夫会長は海と大気ともに、県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は海への放出に反対した。県町村会長の小椋敏一・北塩原村長は「県外への処分も検討すべきだ」と話した。
 県旅館ホテル生活衛生同業組合の小井戸英典理事長は「海洋放出が業界にとっては最も損失の少ない処分案」としたうえで、「海洋放出による直接的な影響は風評被害ではなく実害」として補償を求めた。
 内堀知事も国に風評対策と正確な情報発信を注文。南相馬市の門馬和夫市長は「期限ありきではない対応もお願いしたい」と述べ、風評対策や住民の理解を得ることが優先とした。新地町の大堀武町長は、除去しきれないトリチウムについて「最後まで研究する努力を」と要望した。
 政府は今後も同様の場を設けていく方針で、次回4月13日は福島市、富岡町で予定している。

↓動画は下記リンクから閲覧してください↓

意見表明者(4月6日)

福島県知事 内堀 雅雄
福島県旅館ホテル生活衛生同業組合 小井戸英典理事長
福島県商工会議所連合会 渡邊博美会長
福島県森林組合連合会 秋元公夫会長
福島県漁業協同組合連合会 野﨑哲会長
福島県町村会 小椋敏一会長
相馬市 立谷秀清市長
南相馬市長 門馬和夫市長
新地町長 大堀武町長
飯舘村長 菅野典雄村長

【動画】第1回多核種除去設備等処理水の取扱いに係る 「関係者の御意見を伺う場」

「処理水放出は福島県外で」福島市長が見解示す

 東京電力福島第一原発でたまり続ける処理水の処分方法について、福島市の木幡浩市長は「(福島県沖など)福島と名前が付かない所で海洋投棄をしてもらいたい」と述べた。政府小委員会が海や大気に放出するのが現実的だとする報告書を公表したことを受け、9日の定例記者会見で語った。
 処理水の処分を巡っては昨年9月、松井一郎大阪市長が「環境被害がないものは国全体で処理すべきだ」と大阪湾からの放出に言及したが、県内の首長が踏み込んだ発言をするのは異例。
 木幡氏は「近場の海で投棄するというのであれば、第一原発の発電によって恩恵を受けた所でというのが筋ではないか」と語り、首都圏を含む地域での放出を示唆した。時期については、風評被害を考慮し「(処分方法の)決定自体も東京五輪の後の方がいい」と話した。(共同)

書面による意見募集、7月31日まで

 経済産業省資源エネルギー庁は汚染水を浄化処理した後の水の処分について、文書による意見も募集している。募集期間は7月31日(金)まで(必着)。郵送の場合は消印有効。電子メール、FAX、郵送、電子政府の総合窓口で受け付けている。日本語に限る。
 経産省は個別の意見への回答はしないが、後日一括して政府の考え方を公表する。
 詳しくは「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場(経済産業省資源エネルギー庁)」を参照。以下、経産省資料より。

(1)提出用の様式に以下の内容を記載(任意)
・意見提出者の氏名、連絡先(電話番号、住所等)
・職業、勤務先・学校名(個人の場合)
・団体名、団体の所在都道府県(団体の場合)
(2)提出先
・ 電子メール:takakushu-iken@meti.go.jp。件名を「書面による意見提出」と記入。
・FAX:03−3580−0879 廃炉・汚染水対策チーム事務局 宛
・ 郵送:〒100-8931 東京都千代田区霞が関 1-3-1 経済産業省別館5階 526 廃炉・汚染水対策チーム事務局 宛 ※封書に「書面による意見提出」と赤字で記入。
電子政府の総合窓口

「パブコメを出そう」FoE Japanがオンライン学習会

国際環境NGO「FoE Japan」は、汚染処理水の処分を巡る意見公募について、インターネットを通じたオンラインによる学習会を開催する。詳細は「ALPS処理汚染水、大気・海洋放出で本当にいいの? パブコメを出そう!」を参照。事前申し込みが必要で、日程は4月14、17、26日、5月2日の計4回。

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