全線復旧したJR常磐線 乗車して放射線量や被ばく線量を調査

東京新聞こちら原発取材班(2020年3月25日)

実際に乗車し、放射線量や被ばく線量を調べた

 14日、東京電力福島第一原発事故で不通となっていたJR常磐線富岡(福島県富岡町)−浪江(浪江町)間の20.8キロで運行が再開され、同線は全線復旧した。
 東京都と宮城県が鉄路で再び結ばれ、列車の利用者は増えたが、気になるのが放射線の状況。本紙は飯舘村で測定活動を続ける伊藤延由(のぶよし)さん(76)の協力を得て、いわき−小高間に乗車し空間線量や被ばく線量を調べた。
 レールや砕石、架線とも交換されたものの、帰還困難区域内に差し掛かると、線量が急に上がる地点がいくつもあった。ただ、同区域内を走る時間は各駅停車でも10分程度。そのため実際の被ばく線量は、いわきから小高間(1時間7分)で0.1マイクロシーベルト、小高からいわき間(同)で0.13マイクロシーベルト。都内などで1日に浴びる線量の10分の1程度だった。(山川剛史)

双葉駅

 大きな渡り通路が新設され、広い駅前ロータリーも整備。駅周辺は自由に出入りできるようになった。駅前は毎時0.11マイクロシーベルトだったが、周辺では、倒壊した家屋も多数残り、0.3マイクロシーベルト前後の地点が多い。

渡り通路やロータリーなどが整備された双葉駅
倒壊した建物が多く残る双葉駅近くの商店街

大野駅

 元の雰囲気が残る駅舎だが、新設に近い。駅につながる道路が通れるようになったが、駅周辺の商店街(写真右)などは手付かずに近い。線量は駅前で0.55マイクロシーベルト、商店街をふさぐバリケード前では1.64~2.06マイクロシーベルトあった。

大野駅
道路1本を除き、駅周りはバリケード。その向こうに見える商店街

夜ノ森駅

 木造の駅舎は撤去され、完全に新設された。線路の西側は2年前に避難指示が解除されている。東側は、名物のサクラ並木に通じる道路のみが解除された。西口は0.34マイクロシーベルト、東口は0.26マイクロシーベルトだったが、少し離れると0.6マイクロシーベルトあり、駅周辺のサクラ並木では1マイクロシーベルトを超えていた。

新設された夜ノ森駅
駅前に広がる夜の森の住宅街(帰還困難区域)

測定方法

 特徴の異なる3台の線量計を窓際に置いて測定した。1台は10秒ごとに自動記録し、ほかの2台で値の変化を観察した。1分間の平均線量を表示する1台は変化に追いつかず、測定結果から除外した。被ばく線量は、積算専用の線量計を用い、1分単位で自動記録した。
 駅に停止中の放射線量は、十分な時間をとって測定したが、走行中の線量グラフについては、傾向はよくとらえているが、高速移動中のため値は不正確。

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