ふくしまの10年 詩になったアナウンサー⑫ 米国でも講演

教室がいっぱいになった米ニュージャージー州立ラマボ大学での講演会(大和田さん提供)

 フリーアナウンサーの大和田新さん(64)は2017年2月、米ニュージャージー州にある州立ラマポ大学で講演した。
 きっかけは前年、福島大学の先生に頼まれてラマポ大のマイケル・エデルスタイン教授夫妻の案内をしたことだった。夫妻は被災地の福島県飯舘村、南相馬市、浪江町をまわった。
 帰りの車の中で教授から「原発事故の不条理と深刻さを強く認識した。アメリカの学生にも話してくれ」と依頼された。
 講演会ではアニメ映画「無念 浪江町消防団物語」も上映した。原発事故のために行方不明者の捜索活動ができなかった浪江町消防団員らの無念の気持ちを伝える。英語版もある。
 会場は250人ぐらいの学生でいっぱいだった。映画を見て涙を流している学生もいた。
 映画について「客観的な情報だけでは伝わらない重い事実を知った」と中国からの女子留学生が言った。
 原子力工学が専攻という女子学生は違った。
 「たった一度の事故だけを取り上げて原子力の全てを悪と決め付けてしまうのは、私はおかしいと考える。絶対に事故を起こさない原発を造るにはどうしたらいいか、今ある原発で事故が起きたら、避難経路はどうしたらいいのか。そういうことを福島の人には発信してほしい」。さらに「人類にとって原子力は絶対必要だ」と言い切った。
 「絶対必要というのは、賛成とか反対とかとは違うんですよね」。大和田さんには衝撃的な感想だった。
 ニューヨークで9・11テロのメモリアル・ミュージアムを見た。ルワンダを訪問し、虐殺の記念館を見学して「ラジオが虐殺に積極的に加担した」話も聞いた。気が付けば、福島の現状と命の大切さを説く伝道師となっていた。

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