ふくしまの10年 詩になったアナウンサー⑪ 送られる感想が宝物

東電本社での講演後、小早川社長(左)の質問に答える大和田さん(右)=2018年3月

 ラジオ福島を退職後、フリーアナウンサーとなった大和田新さん(64)はよく講演を依頼される。高校や大学で話すと、後で感想を送ってもらえる。それが宝物だという。
 2018年1月に講演を聴いた宮城県気仙沼市出身の国学院大学生からは、こんな感想が寄せられた。「震災を思い出さぬように生きてきました。昨年3月11日、大切な同級生が身を投げた。なぜ死を選んだのか誰にも分からない。講演を聴いていてとても苦しかった。でも聞いてよかった。震災と向き合い、被災地には心に傷を負っている人がいるんだと伝えていく」
 同じ年の3月には、東京都千代田区にある東京電力本社で講演した。
 「福島にいる東電社員の人たちの被災者に対する思いに、私たちは本当に感謝しています。ボランティアもやってくれますし、不自由なことはありませんか、と声もかけてくれます。月命日に手を合わせに来る社員もいます。だけど、私が見た感じ、東京本社と福島の復興本社はまるで別会社です。福島にいる東電社員の気持ちをもっとみんなで共有してほしい」
 小早川智明社長からは「どうすればいいですか」と質問が出た。「社長がもっともっと福島に来ればいいんです」と答えた。「その後、よく来ています。パフォーマンスだという人もいますが、パフォーマンスでもいいんです。下は見ていますから」
 大和田さんは福島の現状を伝えるために講演はできるだけ引き受ける。福島の未来には「教育と医療が大事」だと主張するので、いわゆるハコモノ施設の建設を優先したい人たちからはうとまれることもある。
 ラジオにこだわらず、伝えることに力を入れていたら、海外からも声がかかるようになった。

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