ふくしまの10年 詩になったアナウンサー⑧ 請戸小の二人からもらった表彰状

広野あさみさん、諒(りょう)さん姉弟からもらった表彰状

 ラジオ福島(福島市)のアナウンサーだった太和田新さん(64)は東日本大震災翌月の2011年4月、浪江町の請戸(うけど)小学校を訪ねた。海から数百㍍の場所に立ち、教室の時計は津波が襲った午後3時38分で止まっていた。2階からは福島第一原発の排気筒が見えた。先生の誘導で児童は2㌔ほど離れた大平山に避難し、全員無事だった。
 一時、立ち入りできなくなったが、12年に再び、入れるようになった。大和田さんは先生4人と一緒に小学校から大平山まで歩いた。どんなことがあったかを、先生たちに話してもらいながら。
 先生が「車が流されて」と言うので「どこに」と尋ねると「あそこ」。行ってみるとそこにはまだ、壊れた車が残っていた。
 「靴を履いていなかった女の子がいたら、男の子が自分の靴を脱いで履かせてあげた」「6年生が1年生の手を引いてあげた」
 子どもたちが力を合わせて避難する様子が語られた。
 編集してトーク番組「月曜Monday(モンダイ)」で12年12月に放送した。この放送「請戸小学校の奇跡」が翌年、日本民間放送連盟のラジオ生ワイド番組部門の優秀賞を受賞した。
 さらに、うれしいことがあった。この授賞の記事を見て、福島市の小学生、広野あみさん、諒(りょう)さん姉弟が、手作りの表彰状をもってラジオ福島に訪ねてきてくれたのだ。
 表彰状には「伝えることの大切さ 伝わることのすばらしさ」と書いてあった。「私にとって、何よりの宝物です」と大和田さんは話す。その後、出版した本「大和田ノート」(福島民報社刊)のサブタイトルは「伝えることの大切さ 伝わることのすばらしさ」にした。

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