海から見た福島第一 無防備な港 津波の傷

防潮堤 傾いたまま 

 最悪レベルの事故から3年9カ月近くたった。東京電力福島第一原発を海から間近で取材した。対策が進み、海への放射能の拡散が減ったのは確かだが、外洋への汚染はなくなっていなかった。廃炉まで30~40年かかるとされる中で、海抜10メートルの敷地は津波の前にはあまりに無防備に見えた。(大野孝志、山川剛史)

”海水からセシウム検出”は重い事実

 夜明けを待って、漁船で東京電力福島第一原発に向かった。本社ヘリで何度も上空から原発の様子は見てきたが、海から近づくと、防潮堤の先端が津波で大きく傾いたままの事実に驚かされた。
 海に向かって「八」の字形をした専用港の防潮堤。5、6号機側の堤は、大半が津波で崩され、消波ブロックを積んでしのいでいた。大きなコンクリートの塊をいとも簡単になぎ倒した津波の破壊力のすさまじさをあらためて実感した。
 原子炉建屋の背後には高い崖があり、処理水タンクがちらちらと見えた。タンクがある位置が元の地盤の高さ。原発は二十五メートルも崖を削って建設された。
 船が波で揺れるたび、建屋の敷地はよく見えなくなった。建設当時、資材や核燃料の搬入、冷却水の引き込みが容易で、固い地盤に建てる必要があり、崖を削ったという。津波の脅威にもっと目を向け、高い位置に建設していれば…との思いがよぎった。
 今回、独協医科大学の木村真三准教授と合同で原発周辺五カ所の海水と海底土(砂)を調査した。結果で特徴的だったのは、専用港の出入り口付近で採取した海水から、一リットル当たり約一ベクレルと無視できない濃度の放射性セシウムを検出したことだ。東京湾など各地で水の汚染も調べてきたが、本紙の調査では初めて水から検出した。
 護岸では遮水壁がほぼ完成し、高濃度汚染水がたまる地下トンネルでの対策工事も進む。だが、やはり福島第一はまだ汚染拡散を続ける現場だとの認識を新たにした。
 調査中、東電や海上保安庁から「原発の港内に入っていないか」「テロ対策設備を撮影していないか」と警告の電話が何本もかかってきた。その緊張感で汚染も監視しないと、国民は信用しない。

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