東京湾の放射能汚染の現状 汚染 国の発表とズレ

6年後に五輪… 全域調査を

 ひと昔前に比べると水質が改善し、生物も戻ってきたという東京湾。ただし、海底の土を調べると、東京電力福島第一原発事故による放射能汚染は、今も色濃く残っていた。(大野孝志、山川剛史、<1>面参照)
 ボートから、土を採取する専用の道具を海中に投じる最中、近くの葛西臨海公園(東京都江戸川区)で開かれていた催しの音楽が、海の上まで響いてきた。橋の上を家族連れが自転車で行き交い、波打ち際では幼児が水に手を付けてはしゃぐ。海上では、多くのヨットが風を受けて走る。のどかな海辺の景色だ。
 国も東京湾の放射性セシウム汚染の調査データを公表している。それを見ていると、汚染は千葉県の木更津港周辺だけで、湾全体としては低い印象があった。しかし、未公表の区域を自ら調べてみると、印象は逆転した。千葉県側というより、むしろ東京側の方が、河口域に広く汚染が広がっていた。
 救いなのは、高い値は河口付近に限られて沖に行けば汚染度はぐっと下がり、海水からセシウムが検出されなかった点だ。
 土を直接口にすることは基本的にないだろう。魚介類で汚染らしい汚染は報告されていない。
 ただ、六年後には東京五輪がある。荒川の沖はカヌー競技の会場になる可能性がある。首相が「東京は安全」と強調して招致した以上、きちんと事実を調べて公表し、その上で各国の選手たちを迎えたい。そうでなければ、世界から不信を招くだけだ。

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