荒川、隅田川のセシウム 汚染が減る日はいつ

よどみにたまるセシウム

 両岸にきれいな遊歩道が整備され、散策やジョギングの格好の場となっている隅田川。そこを流れる水はお世辞にもきれいとは言えないが、それでも福島の原発事故の影響が、こんなにも残っているとは予想していなかった。(山川剛史、荒井六貴)
 華やかな銀座の街のすぐ近くで、汚れた作業着を着て、底土を採取する採泥器などを詰めたコンテナを抱えて歩く。あまりにも場違いな姿に気後れしつつ、「やり始めた調査。やり抜かねば」と言い聞かせ、川に道具を投入する。
 ロープを通じ、ふわっとした着底の手応えが伝わってくる。採泥器を引き上げると、中には真っ黒なものが詰まっていた。都市河川ならではのヘドロだ。どの地点も見た目や臭いは同じような状況で、場所によってはカラスガイのような貝殻や、さびた乾電池が入っていることもあった。
 大きく蛇行する隅田川。川の流れは非常に緩い。都の担当者に聞くと、満潮時には海の力に押され、遠く荒川との分岐点・岩淵水門(東京都北区)まで逆流するのだという。実際、採泥器が上流側に引っ張られることが何度もあった。
 九月に東京湾河口部を中心に調べた経験から、それなりに放射性セシウムによる汚染があるだろうとは想像していた。ただ、現在の隅田川は荒川から分かれた形。上流から流れてきた放射性物質の多くは、隅田川ではなく、荒川そのものに向かったはず。濃度はずっと低いだろう-と予想していた。
 しかし、予想は全く外れた。後の測定で、放射性セシウムは、上流から河口まで全長二三・五キロの広範囲にたまり、特に水がよどむ川の曲がりの内側は濃度が高いと判明した。
 現場のことを思い返せば、内側の方が簡単にヘドロを採取できたのに、外側は堆積物があまりない地点もあった。
 この川で泳ぐわけでもないから、普通に付き合う分には実害はないかもしれない。ただ、何もしなければ都会のど真ん中にセシウムが長期にわたって残り続けるのも事実だ。たまった汚泥は膨大な量だろう。「どうすればいいのか…」。今後も定点観測を続け、事実を報じていくことしか思いつかなかった。

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