福島事故セシウム やっぱり、ここもか… 足元には軽視できぬ濃度 

東京湾より一段高い汚染

 散歩する人、釣り糸をたれる人、ベンチに座って談笑する人…。調査に訪れた一月二十六、二十七の両日は、真冬とは思えないほど柔らかな日が差し、平日なのに湖畔はさまざまな人たちでにぎわっていた。(山川剛史)
 目の前に広がるのどかな風景をゆっくり眺めていたい思いを振り払いながら、二日間かけ、千葉県の手賀沼と印旛沼、茨城県の霞ケ浦と牛久沼を回った。
 橋の上からロープで金属製の採泥器を下ろす。波紋に驚き、コイが逃げた。ふわっとした感触が伝わり、引き上げると、なめらかな底土が採れた。東京湾や都心を流れる隅田川のような真っ黒な泥とは違い、臭いらしきものもない。
 ただし四年近く前、東京電力福島第一原発から放出された放射性物質が、この平穏な水郷地帯も襲ったことは知っている。海や主要河川とは違い、水の入れ替わりは少なく、閉じ込められた放射性セシウムがそれなりの濃度で検出されるだろうことも。
 持ち帰った底土や周辺の土の試料の数は五十一。ふとん乾燥機と木箱を組み合わせた自作の乾燥機で乾かし、小数点以下二ケタまで重さを量り、測定用の容器に密閉し、厚い鉛板で覆われた測定器にかけていく。
 「ああ、やっぱりあるのか…」。セシウムは特有のエネルギーを発し、それがパソコン上のグラフに現れる。明らかに東京湾などとは違う高さだった。
 結果は図表の通り。現地の放射線量は心配するほどではなかったが、水の下と足元には軽視できない濃度のセシウムがあった。のどかな水郷各地には、美しいタナゴやモロコも数多く生息する。セシウムよ、早く半減期を重ねてなくなってくれ。そう願った。

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