茨城・鹿島港が洋上風力の組み立て拠点に

 洋上風力発電所を建設する際、大型風車などの設備をあらかじめ組み立てる拠点となる基地港が、茨城・鹿島港の外港地区(茨城県鹿嶋市)に国の直轄事業で整備される見通しとなった。近隣では千葉県銚子沖が洋上風力の適地として有望視され、東京電力が最大37万キロワットの発電所を計画中。こうした計画の前線基地となることで、県は鹿島港の利用促進や周辺への関連産業集積にもつなげたい考えだ。(宮尾幹成)

近隣に洋上風力適地の千葉・銚子沖

 1月14日に開かれた県地方港湾審議会(知事の諮問機関)が、外港地区の一画(5ヘクタール)を基地港にするとの港湾計画変更案を了承。2月中旬に予定される国の交通政策審議会(国土交通相の諮問機関)の港湾分科会で正式に決まる。
 洋上風力発電を巡っては、沖合の海域利用のルールなどを定めた「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(通称・洋上風力発電普及法)」が2019年4月に施行された。
 国は、地元合意などが整った銚子沖など四カ所を有望な区域として、風況や地質の調査に着手している。このうち長崎県五島沖が昨年末、法律に基づく「促進区域」に初めて指定された。銚子沖も近く指定される方向だ。
 洋上風力の発電設備は大型化が進み、最大規模の1.3万~1.5万キロワット級では柱の高さが200メートル、風車の直径が250メートルにもなる。海上での建設作業を減らすには、陸上である程度、組み立てておく必要がある。鹿島港は、巨大な資機材の搬出入や保管、組み立てのための広いスペースを確保でき、銚子沖にも近いことから名乗りを上げた。
 県港湾課は「洋上風力は部品が1万~2万点と多く、事業規模が数千億円に至る場合もあり、地元産業への波及効果が期待される。成長が見込める作業で、質の高い雇用創出にもつながる」と熱視線を送る。
 県内にも洋上風力の実績はある。神栖市の鹿島港沖では、海岸に近い防波堤上に風車を設置する「半洋上風力」と呼ばれるタイプの「ウィンド・パワーかみす第1・第2洋上風力発電所」(計15基、3万キロワット)が稼働中。この沖合に36基(18.7万キロワット)を建てる「メガサイト鹿島」の計画も進む。

洋上風力発電の風車組み立て拠点として整備される見通しとなった鹿島港の一画。後方の風車は、陸上にあるサミットウインドパワー鹿嶋発電所=茨城県鹿嶋市で

洋上風力、全国で原発10基分の計画

 洋上風力発電は、海に囲まれた日本にとって、太陽光に続く将来性のある再生可能エネルギーだ。
 日本風力発電協会の試算では、風車の土台を海底に固定する「着床式」だけでも9100万キロワットの潜在力があり、単純計算で最新型の原発60~70基分に相当する。現在、原発10基分ほどに当たる約1400万キロワット分の事業計画(一部、区域の重複あり)で、騒音や生態系への影響を調べる環境影響評価(アセスメント)の手続きが進む。
 ただ、日本は海域利用のための法整備が遅れたこともあり、ヨーロッパや中国には大きく後れを取る。世界風力会議(GWEC)の2018年報告書によると、世界の洋上風力の導入量は2310万キロワット。このうち8割以上は英国、ドイツ、中国の3カ国が占める。一方、日本は19年末現在6.5万キロワット(半洋上風力を除くと2.1万キロワット)で、同じ島国の英国の100分の1以下にとどまる。
 洋上風力には、▽陸上より安定して強い風が吹く▽土地の制約がなく大規模設備を建設できる▽風車の土台を新たな漁場として活用できる可能性がある-などの利点がある。その半面、海底の送電線敷設などが必要で建設・維持費がかさむため、大量導入によるコスト削減が不可欠だ。
 洋上風力の建設方式は、「着床式」と、風車を海上に浮かべる「浮体式」の二通り。メガサイト鹿島や東電の銚子沖の計画はいずれも着床式だが、遠浅の沿岸が少ない日本では適地に限りがあり、浮体式の普及にも期待がかかる。 

銚子沖では国が2013~17年に洋上風力発電の実証事業に取り組んだ。現在は東京電力が商用運転する(新エネルギー・産業技術総合開発機構提供)

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